暗雲が垂れ込めた「史上初の30%台」

 一方、紅白の“不敗神話”が崩れた象徴的な年がある。初めて平均視聴率が40%を下回った2004年(第55回)の39.3%だ。

 この年は氣志團や大塚愛が初登場し、松平健による『マツケンサンバII』が会場を熱狂の渦に巻き込んだ。当然、五木ひろしや小林幸子といった大物歌手も顔を揃えたが、お茶の間の視線は他局へと流れた。

「“裏番組”は、TBS系の格闘技イベント『K-1 PREMIUM 2004 Dynamite!!』です。前年のボブ・サップ対曙戦が瞬間視聴率で紅白を超えた勢いそのままに、この年も魔裟斗や山本“KID”徳郁といったスター選手が躍動し、20.1%という数字を記録。若年層を中心に『紅白よりも格闘技』という流れが決定づけられた瞬間でした」

ワースト記録の衝撃…旧ジャニーズ不在の影響

 そして現在、全75回の中でワースト記録となっているのが、2023年(第74回)の31.9%だ。前年の35.3%から大きく数字を落とした背景には、芸能界を揺るがした巨大なスキャンダルがあった。

2023年9月に開かれた旧ジャニーズ事務所の会見
2023年9月に開かれた旧ジャニーズ事務所の会見
【写真】引退してもう7年…紅白歌合戦で熱唱する往年の安室奈美恵

「旧ジャニーズ事務所の問題を受け、同事務所のタレントの出場が44年ぶりにゼロとなりました。例年、複数のグループが出場し、若年層の視聴率を支えていただけに、その穴はあまりに大きかった。K-POP勢を増やすなど対策は講じましたが、長年の固定ファンを納得させるには至りませんでした」

 翌2024年(第75回)は32.7%とわずかに持ち直したものの、かつての勢いを取り戻すには至っていない。果たして、2025年はふたたび国民の関心を呼び戻すことができるだろうか。

※本記事の平均視聴率はビデオリサーチ調べ、関東地区、世帯視聴率を基に構成。