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ー アメリカにおける「Yakult」の知名度

 

「最終的には神宮球場でユニホームを脱ぐときがきたらいいなと想像している。それぐらいヤクルトという球団が好き。まずはアメリカでしがみついて、1年でも長く向こうでやることを考えてやりたい」

 東京ヤクルトスワローズの村上宗隆選手(25)のメジャー移籍先がシカゴ・ホワイトソックスに決定した。それに伴い、球団公式YouTubeでは村上のインタビュー動画を公開。将来的に現役引退する時には、自身を育ててくれたヤクルトでのプレーを希望した。

 11月のポスティング申請直後には、国内外で8年280億円〜290億円の大型契約も想定されたが、蓋を開けてみれば2年で約53億円の短期契約で締結。村上を送り出したヤクルト球団に入る譲渡金も、40億円〜50億円から約10億円に目減りする見込みだ。

 2023年12月に村上同様、ポスティングでロサンゼルス・ドジャースに移籍した山本由伸投手(27)は12年契約で約450億円。この際にオリックス・バファローズに転がり込んだ譲渡金はおよそ72億円と、ヤクルトは7分の1にとどまったわけだが、

「そこはあまり気にしていない。それより彼が世界から認められる結果を出してくれることが、ヤクルトにとっても小さいものではない。(FAとなった2年後に)彼の報酬が大きく伸びたら、一緒に喜びたいレベル

 球団事務所で取材に応じた林田哲哉代表取締役社長オーナー代行(70)は、譲渡金の大小よりもまずは2年間、村上がMLBで結果を出すことを期待。そして再びFAとして大型契約を勝ち取った際に、ヤクルトにも「小さいものではない」結果が出るとした。

アメリカにおける「Yakult」の知名度

2024年5月、ヤクルト戦が行われた神宮球場で始球式を務めた内田有紀4
2024年5月、ヤクルト戦が行われた神宮球場で始球式を務めた内田有紀4

 2025年11月14日に公開された、ヤクルト【2026年3月期第2四半期(中間期)決算説明】によると、主力商品である乳製品の1日平均の売り上げ本数は国内で916万本。また海外市場に目を向けるとインドネシアで567万7000本、フィリピンで456万9000本、メキシコで396万8000本と次いでいる。

 そしてアメリカはというと72万3000本と、ヤクルトの世界市場では10位。酪農大国で乳製品が豊富なアメリカにおいて、ヤクルトが米国市場に進出した1999年以降、販売本数を緩やかな右肩上がりで伸ばしているが、さらなる起爆剤にもなり得そうなのが村上の活躍だ。

 というのも2025年シーズン当初より、MLBの移籍マーケットを早々に賑わしていた村上。現地の各メディアや媒体で特集が組まれるたびに、今回のホワイトソックス移籍に関するニュースでも伝えられたのが『Tokyo Yakult Swallows』の名前。

 林田社長の期待通りに、2026年シーズンに新人王、はたまたMVP級の活躍をすれば『Yakult』は米国内における認知度はさらに高まる。そんな広告宣伝の費用対効果も合わせての10億円は「小さいものではない」ということか。

 どうやら村上選手はヤクルト戦士だけでなく、“Yakultセールスマン”としての使命も背負っているようだ。