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ー 2025年は過去最多の捕獲数

 

 1月7日、厚生労働省がフリーマーケットアプリ大手の「メルカリ」に対し、出品されていた「熊の胆」の削除を要請したことが明らかになった。今回問題視されたのは粉末状に加工されたもので、メルカリ側は要請を受けてすでに対象商品を削除している。

2025年は過去最多の捕獲数

 メルカリなどのフリマアプリではこれまでも、本来、販売に許可が必要な医薬品の転売についてたびたび問題視されてきた。メルカリのガイドラインにおいても「医薬品医療機器等法に基づき医薬品・医療機器の出品にルールを設けています」と明記されており、医薬品の出品は禁止されている。

 個人間のやり取りであっても法的なリスクはきわめて高いと、弁護士法人ユア・エースの正木絢生代表弁護士は次のように警鐘を鳴らす。

「医薬品医療機器等法は、メルカリなどでの個人での出品に限らず、医薬品について許可なく業として販売・授与したり、販売目的で陳列することを禁じています。これらは一回限りの行為であっても、刑事罰の対象になり得ます」

 では、今回削除要請を受けた「粉末状の熊の胆」は、医薬品なのだろうか。

 熊の胆とは、熊の胆のうを乾燥させたもので、古来より肝機能改善や胃腸の不調に効く生薬として、主に漢方薬として珍重されてきた。また、2025年は熊の出没件数が全国で4万7000件を超え、捕獲数も過去最多の1万2000頭を突破。かつてないほど多くの熊が駆除されたことで、フリマアプリ市場に出回るはずのない生薬原料が流出した可能性もある。

「熊の胆は、日本では伝統的に漢方薬の原料として扱われており、現在も法律上、医薬品又は医薬品原料にあたる可能性の高いものです。今回は出品者が粉末状に製造したという内容の説明文があったことから、未承認の医薬品にあたる可能性があると判断し、医薬品医療機器等法違反の可能性があるとして削除要請をしたのでしょう」(前出・正木絢生弁護士、以下同)

 粉末状がNGであれば、熊の胆そのものの出品はどう扱われるのか。

未加工の熊の胆を食材として扱ったとしても、その場合も食品衛生法など他の法律による規制を受けますので、メルカリなどで個人が出品するのは難しいでしょう。また、漢方で他によく使われる例えば朝鮮人参は、食品衛生法などの規律に服するのは同様ですが、動物の内臓である熊の胆よりは若干ハードルは下がり、食材・健康食品として、出品が許される可能性もあります。

 ただし、こちらも医薬品又は医薬品原料として扱われることがあるのは同じですので、粉末化・カプセル化など、医薬品と疑われる形態ではないかや、効能効果をうたった表示がないかなど、気をつけなければなりません」

 フリマアプリ上では熊の胆そのものを「食材」ではなく、あえて「置物」や「お守り」として出品し、規制を回避しようとするケースも散見される。厚労省はこうした実態も把握しており、さらなる対応を検討中だという。

◆弁護士プロフィール 正木絢生(まさき・けんしょう)弁護士法人ユア・エース代表。第二東京弁護士会所属。消費者トラブルや交通事故・相続・労働問題・離婚・借金など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける。BAYFM『ゆっきーのCan Can do it!』にレギュラー出演するほか、ニュース・情報番組などメディア出演も多数。YouTubeやTikTokの「マサッキー弁護士チャンネル」にて、法律やお金のことをわかりやすく解説、ユア・エース公式チャンネル「ちょっと気になる法律相談」では知っておきたい法律知識を配信中。
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