アプリで進化した「写ルンです」体験
ここからは、現在「写ルンです」の企画を担当している植松さんに話を聞く。
現在同商品に熱狂しているのは、当時のブームを知らないZ世代だ。なぜ、高画質なスマホを持つ彼らが、あえてアナログなフィルムを選ぶのか。その背景には、インフルエンサーや著名人が「写ルンです」を愛用していることもある。渡辺直美やSnow Man、浜辺美波などなど……多数の著名人が使用し話題になってきた。
「著名な皆さんが楽しんでくださる様子をメディアで拝見することも増えています。それをきっかけに『写ルンです』を知り、体験いただいた方もいらっしゃると思います」(植松さん、以下同)
撮ったその場では確認できず、現像に出して初めて写真に対面する。その「待つ時間」さえも、ワクワクする体験として受け入れられていると植松さんは話す。
「スマホは『記録』、『写ルンです』は『記憶』に近い感覚があるのではないでしょうか。『写ルンです』は27枚という限られた枚数しか撮れません。だからこそ、その一枚一枚を大切に撮る。現像の待ち時間も含めて、特別な体験になっているのでしょう」
ちなみに現在の「写ルンです」は原材料価格や輸送コストの高騰を受け、2860円(税込み)。販売当時を知る人は驚くかもしれないが、そんな面からもプレミアムな体験だといえるだろう。
「アナログの良さは残しつつ、現代のライフスタイルに合わせた進化もしています」
と植松さんが語るのが、スマートフォン専用アプリ「写ルンです+(プラス)」だ。
「『写ルンです+』で現像を注文し、撮影済みの『写ルンです』をコンビニから送るだけで、画像データをスマホで直接、簡単に受け取れます」
画像データを受け取ると、まるで写真プリントを1枚1枚めくって見るような演出や、撮影した27枚を1本の「マイフィルム」として管理できる機能など、デジタルの便利さとアナログの世界観を融合させている。
「飾らない瞬間、なのに特別。TM」。これは現在の「写ルンです」のキャッチコピーだ。
「時代が変わっても、思い出を形に残したいという人の思いは変わりません。『写ルンです』は、これからもアナログならではの温かみと、時代に合わせた利便性を融合させながら、皆さんの大切な瞬間に寄り添い続けていきたいです」
世界70か国以上で愛され、累計販売本数は17億本を突破。日本の技術遺産(未来技術遺産)にも登録された、この小さな“レンズ付フィルム”は、40周年を迎える今もなお、色あせることなく私たちの日常を切り取り続けている。
取材・文/高松孟晋











