しかし、である。美は絶対的なものではなく、好みにも大きく左右される。その基準が主観なのか客観なのかは哲学における一大テーマで、哲学者たちを何千年も悩ませてきた。
で、何が言いたいかというと、筆者はこの人の顔がそれほど好みではない。世間が美人だというのでそうなのだろうな、という感覚だ。
そもそも、美人系より可愛い系の容姿に惹かれるので、作品を積極的に見ることもなく、要はたくさんいる「有名女優」のひとりにすぎなかったわけだが─。
朝ドラ『ばけばけ』では毒親役
今期のNHK朝ドラ『ばけばけ』で、彼女の芝居をようやく楽しむことができた。役柄は士族の育ちで、料理もできない奥様。夫が死ぬと、物乞いに落ち、養女に出した実の娘に援助してもらうハメになる。この変則的な「毒親」設定が絶妙にハマっていたのだ。それは彼女が世間公認の「美人」であり、かつ、実人生でも恵まれていることによる幸せなイメージとのギャップが有効だったからだろう。
そういえば、前作『あんぱん』でも松嶋菜々子が毒親っぽい母を演じ、話題になった。
本来、幸せな美人というのはやっかみを生じさせがちで、美人女優のスキャンダルはそれゆえに面白い。だが、北川や松嶋のような「失敗しない」タイプにはそれがないから、そのぶん、フィクションに期待すればよいわけだ。もちろん、一寸先は闇なので、夫たちがいきなり不倫をしないとも限らないが─。
それにしても、北川の勉強が高校で頭打ちにならなければ、彼女がこんなに多くの人に知られることもなく、DAIGOという結構レアな安定株と巡り合うこともなかっただろう。
女優の人生は、美と幸せについて考えるうえで格好の研究材料。ここまでの北川は、史上有数レベルで順風満帆な例といえる。
ほうせん・かおる アイドル、二次元、流行歌、ダイエットなど、さまざまなジャンルをテーマに執筆。著書に『平成「一発屋」見聞録』(言視舎)、『平成の死 追悼は生きる糧』(KKベストセラーズ)。











