岐阜県・白川村の「白川郷」では100棟あまりのかやぶき屋根の合掌造りが多く残っている。合掌造りは、江戸中期から昭和初期に建てられた。日本の昔ながらの農村文化を感じられるとして、1995年にユネスコの世界遺産に登録されており、日本の有名観光地のひとつだ。
初めてインバウンドが過半数を占めた
2024年の観光客数は約208万人と白川村観光振興課が明かしている。外国人観光客数は約111万人で、過半数を占めたのは初となった。
外国人に白川郷が人気の理由を白川村観光振興課の担当者に聞いてみると、
「他の地域にない合掌造り集落があることで日本の原風景を体験できることが理由だと考えています。また、SNSの流行によりインバウンドの方の投稿が増えたことも人気が増大した理由だと考えています」
1995年にユネスコの世界遺産に登録された当時の観光客数が約77万人だったことを考えると、SNSの普及が起爆剤となったようだ。
日中関係悪化に伴う観光客数については、「数値的な根拠はありませんが1月に入り村内の宿泊施設で数件キャンセルが出ているそうです。特に大きな影響はない認識です」(白川村観光振興課の担当者、以下同)
白川郷では今でも約500人の住人が暮らしており、住民に対して4000倍の観光客が訪れているわけだが、オーバーツーリズム(観光公害)になっていないのか?
「村としては年中通してオーバーツーリズムという認識ではなくゴールデンウィークやお盆、年末年始などの大型連休などの期間限定で多くの観光客の来村によりオーバーツーリズムの様子を呈していると認識しています。また、村としては観光客の方が世界遺産集落に集中して来られることで渋滞問題やマナー違反による観光客自身の満足度の低下を危惧しているため村内の他の観光地への周遊に力を入れています」
大型連休の繁忙期にはオーバーツーリズム状態になっているとの回答が。多くの観光客が訪れていることに対して、「渋滞問題やマナー違反による住民の観光満足度の低下」に困っていると明かした。
2024年の村の調査で訪日客に対する印象について「あまり良くない」「良くない」と否定的な回答は59.4%となった。
そこで、白川村は「レスポンシブル・ツーリズム(責任ある観光)」という考えを持ち、ゴミの持ち帰り、村民の生活を守るため、夜の観光を受け入れないなど5項目のマナーを観光客が守るよう呼びかけている。
高度経済成長期におけるダム建設などで合掌造りがどんどん減少していくなか、1971年に「白川郷荻町集落の自然環境を守る会」を全住民の総意で発足し、「売らない」「貸さない」「壊さない」の3原則をもって白川郷の原風景を守り続け、今年で55年がたつ。
白川郷を持続可能な観光地として維持できるのか、今その分岐点に立っているのかもしれない。






















