いま、静かに、しかし確実に再生回数を伸ばし続けているYouTuberが87歳の重吉さんだ。「重吉ちゃんねる」の登録者数は3月2日現在で約11万人を記録している。
冬至の動画が100万回再生
派手なテロップも、過激な企画もない。それでも若い世代を中心に支持を集め、“令和の癒やしアイコン”として存在感を放っている。
中でも話題になったのが、冬至の風習を語りながらゆず風呂に入る動画(118万回再生)や、バラ風呂に入りながら無邪気に笑う動画(65万回再生)などだ。
YouTubeチャンネルのコメント欄やネット上では称賛の声が多く聞かれる。
《全員幸せになるという最高の動画》
《AIの仕事を人間が奪っている》
《「重吉は善のYouTuber」だとかいろいろ言われてる》
こうした声が寄せられる理由をITジャーナリストが指摘する。
「Z世代をはじめ若い世代は、派手な演出よりも“本物の感情”を見抜く力があるのだと思います。SNSで膨大なコンテンツに触れている世代だからこそ、人為的に作り込まれた演出と、そうでないものの違いに敏感なんです。重吉さんの語りや空気は、編集では再現できない“間”や“揺らぎ”があります。その自然な温度が安心感を与えているのではないでしょうか」
近ごろは“AIが人間の仕事を奪っている”といった物言いが聞かれるが、重吉さんのチャンネルは“AIの仕事を人間が奪う”という異なるメッセージを提示してもいる。
「高度化する生成AIがコンテンツを量産する一方で、“そこに存在する人間”が最強のエンタメになる。これはAI時代へのアンチテーゼであり、人間の底力の証明でもあると思います。だから若い世代ほど、この“未加工のリアル”に惹かれるのではないでしょうか」(前出・ITジャーナリスト)
SNSでのバズりをきっかけに、2月27日放送のインターネット番組『ABEMA Prime』でも『3歳の子どもが推し!?「重吉ちゃんねる」とは』というテーマが取り上げられた。番組での反応を放送作家が語る。
「共演した生成AIの最前線に立つハヤカワ五味さんは『純度100%の嬉しさ』『令和キッズの心をつかんでいる』と嬉しそうに話し、情報キュレーターの佐々木俊尚さんは『YouTubeは編集が高度化する中でつくり過ぎてないのが逆に良いんですよ』と冷静にバズりの理由を分析していました」
AIが進化し続けるほど、人は逆に“人間らしさ”を探し始めるのかもしれない――。最適化では届かない重吉さんの癒やしが、今日も静かに再生回数を伸ばしている。






















