物価高の現状などを鑑みて増額要求は見送りに
内廷費といえば、昨年5月に侍従職による“360万円着服事件”が発覚した。実際、宮内庁はどのような管理体制を敷いているのだろう。
「公金を扱う会計組織の責任者は『皇室経済主管』で、内廷費の責任者は『内廷会計主管』です。役職名は違いますが、担うのは宮内庁職員で同一人物です。公金を扱うほかの職員も内廷費は扱いますが、公金と内廷費がまざらないように対策が講じられています。毎年の予算は、侍従職や上皇職から提出された予算要求書が『内廷会計審議会』という場で審議されたうえで決まります。当然、年度末の決算も行われます」
もちろん、厳格な管理の末に節約されたお金も存在する。
「“内廷基金”と呼ばれる天皇家の私的な財産を指すものがあり、これは一般の貯金にあたります。内廷費が余った場合、国には戻さずに内廷基金に移され、逆に内廷費が足りなくなった場合はここから補填されます」
昨今、日本は物価高に悩まされている。その状況を踏まえ、山下さんはこう指摘する。
「昭和43年に、東京23区の物価上昇率と国家公務員の給与ベースアップ率を内廷費の物件費と人件費の割合にそれぞれ掛けて、1割を超えた場合は増額を要求する、という目安がつくられました。現在その基準は超えているようですが、物価高に直面する国民生活の現状などを鑑みて、増額要求は見送られました。個人的には、この機械的な基準を適用しないと、今後増額するタイミングが難しくなるのでは……と危惧しています」
厳格な管理のなか、国民と共に物価高を耐え忍ぶ天皇家の“清貧”の姿勢が共感を呼ぶのだろうーー。
山下晋司 皇室解説者。23年にわたる宮内庁勤務の後、出版社役員を経て独立。書籍やテレビ番組の監修、執筆、講演などを行う

















