そんなカプセルトイに大きな転機が訪れたのは、'94年のことである。
単なるおもちゃからの脱皮
「この年、'60年代から'80年代にかけて人気を呼んだガンダムなど、アニメ・特撮ヒーローもののカラー彩色フィギュアがカプセルトイに登場。これが子どものころに買えなかった、20代・30代の大人たちの心にも刺さって話題沸騰となり、第3次ブームを巻き起こしました」
日本上陸から30年。ついにカプセルトイは、子どもから大人まで楽しめるアイテムとして確固たる地位を築くことになる。
その後、'06年には、雫形をした外観の中央にあるボタンを押すことで内蔵された音声が流れる「サウンドロップ」と呼ばれる商品も登場。しかし─、
「スーパーマリオブラザーズや、ウルトラマン、ルパン三世など学校や飲み会などでサウンドロップは人気を集めますが、大きなブームになることはありませんでした」
このままカプセルトイは、子どもや男性ファンたちのアイテムとして役割を全うするかに見えた。そんなカプセルトイの世界に'12年、革命が起きる。
それがカプセルトイの企画・制作を行っている奇譚クラブと、漫画家タナカカツキが共同開発した「コップのフチ子」シリーズである。
「そのシュールでかわいいポーズやうつろげな表情が、ひとり旅やソロキャンプを楽しむ女子の心を捉え、SNSとの相性もよく、購買力のある20代から40代女性の心を捉え、大バズり。第4次カプセルトイブームを巻き起こしました」
フチ子シリーズは「ぶら下がりフチ子」「ひっかかりフチ子」「座るフチ子」「乗り越えフチ子」「バランスフチ子」「レモンとフチ子」「ないしょのフチ子」といったバリエーションも豊富。
あっという間にカプセルトイを買う男女の比率は“2対8”と大逆転を遂げている。
さらに写真展や書籍、劇場マナーCMへの登場などカプセルトイの枠を超えて、「コップのフチ子」は社会現象になっていった。
気がつけば、昨年のカプセルトイの市場規模は出荷ベースで1960億円(日本カプセルトイ協会調べ)。
対面販売ではないことからコロナ禍でも売り上げを落とすことなく、この4年間でおよそ3倍まで成長を遂げ、現在「第5次ブーム」といわれている。
「最近は、1か月で発売されるカプセルトイの新商品の数は300種類。女性マーケットを意識して、香水などの化粧品も増えています。
さらにモー娘。から生まれたユニット『ミニモニ。』やサンリオの『ハンギョドン』といった平成レトロなキャラクターものも人気を呼んでいます」
そこでワッキー貝山、イチ推しの最新カプセルトイを教えてもらった。
「0・5センチほどのアクリルカードに愛、嘘、悪、秘、寂などの文字が書かれたトイズキャビンの『脳内メーカーシャカシャカキーホルダー』はレトロ感たっぷり。アクリルカードの裏面にキーワードを書き足せば、オリジナルものを作ることもできる。そんなところも大きな魅力です。
そしてもう一つ挙げるなら、ブルーマウンテンの猫フィギュアシリーズ『勝手に牛乳を注ぐ猫』。
カップのふちなどに猫が乗り、ミルクを注いでいる。その猫背がたまりませんね」
このところ日本人だけではなく、外国人観光客からも注目を集めているカプセルトイ。
あなた好みのカプセルトイをチェックして、ファッションアイテムに取り入れてみてはいかが!?
取材・文/島 右近
カプセルトイ専門家。小学生のころから集めたカプセルトイは約11万個に及ぶ。関連書籍5冊を出版。「ワッキー貝山ガチャンネル」YouTube配信中。













