「皇室」にあえて関心を向けたくはないという意識も
皇室典範議論で国民の皇室問題への関心が高まったという声もあります。しかし、これもそう単純な話ではありません。毎日新聞の調査では、養子の子に皇位継承権を与えることについて賛成26%、反対41%ですが、注目すべきは「わからない」とした人が30%もいることです。無視できない割合です。
日頃ニュースをそれなりにフォローし、女性天皇問題に関心を持つ層は確実にいる。一方で、価値観が分かれる皇室問題には、むしろ目をあえて向けたくないと思っている人がかなりの数存在するのです。
競争社会を生きざるを得ない若い世代は、争い事や論争を避ける傾向が強いといわれています。国会でもめている様子は見たくない、あるいは対立が苦手という人は確実に存在します。そこには、価値観が分かれる「皇室」というテーマに、あえて強い関心を向けたくはないという意識が見え隠れします。それは単なる無関心や不勉強ではありません。
私が、宮内庁の官僚なら、そうした人たちにどのようにアプローチすれば、世代的な共感を広げられるかを考えると思います。残念ながら、今の皇室の広報戦略はそこまで思いが至っていません。国民がもっと皇室に関心を持てば、問題が解決に向かうといった単純な話でもないのです。
森 暢平 成城大学文芸学部教授。元・毎日新聞皇室担当。CNN日本語サイト編集長を経て、現在はジャーナリズム論を専門とし、近代皇室の社会史などを研究。著作には『天皇家の財布』(新潮社)『天皇家の恋愛』(中央公論新社)など


















