糖質制限より食べ方を工夫する

 だからこそ、極端な糖質制限はNGだという。

「食事をすると、脳の快楽ホルモンが分泌されます。好きなものを食べることは、生きるために必要な神経回路になっていて、そこに制限をかけるのはそもそも無理なのです。人を好きになるのをやめられないのと同じこと。白いご飯や甘いものを食べる楽しみを止めることはできないので、必ず弊害が生じます。ですから、食べ方や量を調整してほしいですね」

 糖質のほかにも、タンパク質や脂質といった三大栄養素をとることも重要。

「この3つに共通している働きは、“ATP(アデノシン三リン酸)”という、私たちの細胞が生命活動を行うためのエネルギー源をつくること。なかでも最も効率的にATPをつくれるのが、ご飯。

 私たちの身体は、糖質を最優先に使ってATPをつくるように設計されています。糖質が足りなくなると、身体は脂肪や筋肉を燃やしてエネルギーをつくろうとしますが、これは身体にとって非常事態(飢餓状態)。その意味でも、糖質の摂取は必要なのです」

 では、糖毒脳を防ぐには、どのような食事をすればよいのだろうか。

「まず、朝昼晩の3食をきちんと食べること。ただ日本人は、ご飯を食べすぎる傾向があるので、少し減らして腹八分目にするといいですね。また食べる順番にも気をつけましょう。食事の最後にご飯を食べると、血糖値が上がりにくくなります。さらに、重要なのが早食いを避けること。早食いは一気に血糖値を上げるので、ひと口食べたら箸を置くなど、自然と食事に時間がかかるよう、食べ方を工夫します」

運動は血糖値を下げ、脳を若く保つ

 重要なのは、糖質を過不足なくとって、食事で上がった血糖値をしっかり下げて一定に保つこと。高血糖が続かないようにすることだ。そのために、運動を活用してほしい。

「例えば、朝など空腹時に、軽く息が切れるぐらいの散歩を20分ほどします。そうすると糖質だけでなく、脂肪も燃焼します」

 ただし、糖尿病で薬を服用している人は、空腹時に運動すると低血糖を起こす危険性があるので要注意とのこと。

「また、寝ている間は血糖値が上がりやすいため、寝る3時間前からは何も食べないようにします。食後に血糖値が上昇して眠気が出たときに、ちょっと散歩するのもおすすめです。散歩ができないときは、座って足踏みするだけでも血糖値は下がります」

 特に認知症予防という観点では、週1時間半以上の運動が一つの目安になる。

「昔は、『脳の神経細胞は大人になると再生されない』といわれていましたが、近年の研究で、脳の記憶を司る海馬では、大人になっても新しく細胞が生まれ変わることがわかっています。この神経細胞の成長、維持に深く関わっているのがBDNFといわれる物質です。運動すると、筋肉からミオカインという物質が出て、BDNFの分泌を促します。つまり運動は、脳の神経細胞の再生をサポートするのです」