また、おひとりさまの高齢者が増加する中、没後に誰からも供養されないことに対する不安を抱える人は少なくない。

「身内がいないのであれば、生きているうちに自分自身でお参りを重ね、ご真言やお経を唱えて身体の中に『徳とお経』を貯めておけばよいのです。亡くなった人にとってお経や真言は栄養。生前にお経を貯金しておけば、一人で亡くなったとしても、その蓄えた力によって自力で成仏し、あの世へ上がっていくことができます」

子どもたちが逃げられる場所を増やすことが大切

 これまで数々のセンセーショナルなテーマを扱ってきた家田だが、今、強い関心があるのはDVや児童虐待の問題だという。

「私自身が親からひどい暴力を受けて、我慢を強いられて育った過去があります。だからこそ、光が当たらない場所で苦しんでいる人や、もがいていても頑張ろうとしている人にどうしても心が引き寄せられるのです。今は虐待を受けている子どもたちが逃げられる場所を増やすことが大切だと考えています」

映画化された『極道の妻たち(R)』は大ヒット。写真左から杉本彩、岩下志麻、家田荘子
映画化された『極道の妻たち(R)』は大ヒット。写真左から杉本彩、岩下志麻、家田荘子
【写真】岩下志麻主演で著書が映画化! 作家とは思えない存在感の家田さん

 また、虐待の被害者が大人になって生きづらさを抱え、「自分がこうなったのは親のせいだ」と過去にとらわれるケースも多い。そんな人たちへ家田は優しくも厳しい言葉を送る。

「私自身、親への憎しみが完全に消えたわけではありません。でもあの親だったからこそ早く独立でき、今の作家や僧侶という仕事につながったという側面もあります。親を恨み続けても、親は子どもを苦しめたことを覚えていないし、いずれ先に死んでいきます。

 過去や他人のせいにして足を止めるのは、時間と心の無駄遣い。過去は変えられません。今とこれからの未来を見つめて努力する前向きな生き方を選んでほしいのです。行政や専門家に相談する勇気も持ってください。道が開けます」

 作家として、僧侶として、これまでを生き抜いてきた一人の人間として。家田荘子は変わらぬ精力的な活動で、社会で弱い立場にいる人たちにこれからも寄り添っていく。

取材・文/紀和 静 撮影/佐藤靖彦

いえだ・しょうこ 作家、僧侶。日本大学芸術学部放送学科卒業。高野山大学大学院修士課程修了。1986年に発表した『極道の妻たち(R)』は、同名で映画化され大ヒットシリーズとなる。'91年、『私を抱いてそしてキスして~エイズ患者と過した一年の壮絶記録』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2007年、高野山大学にて伝法灌頂を受け、僧侶になる。著書は140冊を超え、近著に『歌舞伎町シノギの人々』『女性のための般若心経』『花魁仕置人 藤紫』など。YouTube「家田荘子ちゃんねる」も好評配信中。