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ー 壮絶な日々から始まった「家仕事」という決意
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ー 野菜も家具も洋服も!手作りで節約&心豊かに

掃除、洗濯、料理、片づけを「家仕事」と呼び、楽しみながら続けている多良久美子さん。家庭菜園で食費を抑え、料理はできるだけ手作りに。掃除や洗濯で身体を動かし、家の中もすっきり整える……多良さんのバイタリティーを生み出す「暮らしのヒント」をお届けする。

壮絶な日々から始まった「家仕事」という決意

 年齢とともに感じる体力の衰え、老後資金への不安─。「お金をかけずに、毎日を元気に楽しく過ごせたら……」と願う女性たちから熱い視線を浴びているのが、暮らしの工夫を発信し続ける多良久美子さんだ。
 
 料理や掃除などの家事を、自分に張り合いを与えてくれる「家仕事」と捉え、知恵と工夫で暮らしを豊かに楽しむ多良さん。83歳になった今も病気知らずで、毎日を生き生きと過ごしている。

 多良さんが家事を単なる作業ではなく「仕事」と考えるようになった背景には、かつて息子さんが4歳のときに麻疹が原因で負った重い障害があった。

「重度の知的障害や激しい行動障害が残り、起きている間は目も手も離せない状態。トイレに行くときも一緒に入るような日々でした。これが一生続くのかと思ったとき、『このままでは、家族みんながつらくなってしまう。

 それぞれが安心して幸せに暮らせる家庭をつくっていこう』と心に決めたんです。愚痴を言ったり落ち込んだりする暇はありませんでした。生活は待ったなしで始まりますから」(多良さん、以下同)

 義理の両親も支援のために同居してくれ、引っ越してきた夜に義母から「これからはあなたがこの家の柱よ」とお財布を託されたという。

「後ろを振り向かず前だけを見て、家庭がうまく回るように効率を考えながら、少しずつ好循環を生み出していきました。大変な時期を乗り越えてきたからこそ、83歳になった今は本当にゆったりとした時間を過ごせています」

 現在は87歳の夫と58歳になる息子さんとの3人暮らし。息子さんは、平日は近くの施設で過ごし、週末になると帰宅する生活を長年続けている。夫は定年後に念願だった米作りや書道に打ち込むなど、おのおのが自分の時間や役割を大切にしている。

「今、家族3人がそれぞれ生きる場所をしっかり持てていて、とても安定した時期だと感じています。80歳を過ぎて公の仕事や責任ある仕事を卒業し、ようやく自分がやりたかったことを楽しめる毎日が過ごせています」

 主婦として長年家族を支えてきた多良さんだが、ご機嫌でい続けるために昔から大切にしてきたルールがある。それは、自分だけの時間を持つことだ。

「子どもが小さかったころは、夜9時からの『ハッピータイム』が心の支えでした。時には『一日中、流し台の前にいたくない』と思うことも当然あります。だから9時になったら『はい、みんな寝てね!』と子どもたちを寝かしつけ、そこからは自分を労う私だけの時間を過ごしてきました。

 早朝に起きて、自分のためだけに淹れた美味しいコーヒーを飲んで気持ちを奮い立たせたことも。上手にサボりながら自分を甘やかす時間をつくってきました」

 一人の時間をしっかり楽しむ一方で、朝・昼・晩の食事は必ず全員で食卓を囲み、それ以外は自由に過ごすという家族間でのメリハリも、長年大事にし続けているルールのひとつだ。