太陽のイメージと影のような雰囲気
芝居にストイックに向き合いながら、周囲を和ませるムードメーカーでもあったという。
「稽古後の食事や打ち上げでもよく食べるし、カラオケでマニアックな曲を歌うんですが、それがまた上手なんです。自分らしさを出しながらも、みんなとすぐ打ち解けて信頼される魅力的な方です」(中島さん)
俳優で、自身も劇団「ベッド&メイキングス」を主宰する富岡晃一郎さんも、石橋の独特な佇まいに惹かれたひとり。
「初めてお会いしたのは、とある演劇ワークショップでした。有名な俳優さんが大勢いる中、石橋さんはスタジオの片隅でひとりヨガマットを敷き、黙々とストレッチをしていました。孤高で美しく、そのときすでに芯の強さのようなものを感じて“いつか共演したい!”と思いましたね」
その後、'19年に富岡さんの劇団の公演『こそぎ落としの明け暮れ』で共演することに。そこでも石橋は常に自然体で明るく、周囲を和ませる存在だったという。
「稽古場でみんなでストレッチをしようという話になったとき、ダンスが得意な彼女に“先生”役をお願いしたら、ムチャ振りにもかかわらず、さらっと完璧にやってくれました。彼女は周囲を照らす太陽のようなイメージがありますが、舞台上では、ふとした瞬間に“影”のような雰囲気を纏うこともあるんです。その姿が刹那的で儚く、心をグワッとつかまれますね」(富岡さん、以下同)
'20年のインタビューでは、自身の生き方について、《すべてはコントロールできない。そのことを楽しめる人間になりたい》と語っている。
バレエから芝居へと、決して一本道ではなかった石橋の半生。その遠回りさえも楽しむ姿勢が、激動の時代を生きた今回のヒロインに選ばれた理由なのかもしれない。


















