欧州のすべての君主国で女性元首の道が開かれた

 なぜ、女性が天皇になれないのか。これは極めて素朴でありながら、象徴天皇制と日本国憲法の本質に関わる重大な問いです。かつて男系男子の継承を基本としていたヨーロッパの君主国は、時代の変遷とともに男女を問わない「直系長子継承」へと相次いで舵を切ってきました。先日、欧州で最後まで男子限定の継承を維持していたリヒテンシュタイン公国までもが、長子優先への制度改定を発表しました。欧州のすべての君主国で女性元首の道が開かれた中、いまだ男系男子のみに固執し続ける日本の現状は、完全に孤立した「ガラパゴス状態」にあると言わざるを得ません。

オランダ・ベルギー公式訪問に向け出発する天皇、皇后両陛下(2026年6月13日)
オランダ・ベルギー公式訪問に向け出発する天皇、皇后両陛下(2026年6月13日)
【写真】'09年12月雅子さまが悠仁さまに寄り添われる珍しい場面。ほか、悠仁さま誕生時の写真など

 上皇陛下や天皇陛下は、ご自身のお立場に言及される際、常に「日本国憲法下における天皇」であることを深く意識されてきました。「天皇は存在しているだけでいい」というあり方から、戦後、新たな憲法下で、初めて即位された上皇陛下は被災地に自ら足を運ばれ、国民と直接触れ合う中で現代の「象徴」としてのあり方を築かれました。しかし、その実践と歩み寄りに対し、政治の側は真摯に応え、「象徴天皇制とは何か」と深く議論してきたとは言えません。

 現行の皇室典範は、皇位継承を「男系男子」に限定しています。しかし、その合理的・論理的な説明はなされていません。天皇陛下のお務めは「国事行為」「公的行為」「私的行為」に分かれますが、皇族による式典へのご臨席や被災地へのお見舞いなどの公的行為において男女の別はなく、現に愛子さまなど女性皇族も果たされています。また、憲法に定められた国事行為を代行する「摂政」や「臨時代行」の就任順位には女性皇族も含まれています。公的行為を担い、国事行為の代行資格も認められていながら、なぜ即位そのものは認められないのか。