改正皇室典範は国会でいつでも再改正は可能

 この歪みを正す好機だったのが、'05年の小泉純一郎内閣における有識者会議でした。同会議は「男女を問わず直系長子優先」という明確な結論を出し、法改正が実現していれば、その後に男子が誕生したとしても直系長子である愛子さまが天皇に即位されるはずでした。世に言う「愛子天皇論」の根拠はここにあります。しかし、翌年の悠仁さまのご誕生によって議論は突如として停止し、闇に葬られました。その後、'12年に私が野田佳彦内閣の官房副長官として宮内庁の要請を受け主導した「女性宮家創設」の取り組みも政権交代によって立ち消えとなり、皇位の安定的継承に向けた抜本的議論は先送りされ続けてきました。

悠仁さま誕生の知らせを受け、愛育病院に到着した、佳子さまと眞子さん(2006年9月6日)
悠仁さま誕生の知らせを受け、愛育病院に到着した、佳子さまと眞子さん(2006年9月6日)
【写真】'09年12月雅子さまが悠仁さまに寄り添われる珍しい場面。ほか、悠仁さま誕生時の写真など

 現在、世論調査では国民の約8割が女性天皇を容認しています。しかし政治の現場では、ネットなどを通じて組織的に圧力をかける「ノイジーマイノリティー(声の大きな少数派)」の声が、非組織的で穏やかな「サイレントマジョリティー(物言わぬ多数派)」の意思をすくい上げられない機能不全に陥っています。「静謐な環境」を口実に議論をタブー視していた結果、国民的合意がないまま、与党による旧宮家の養子案などの皇室典範の改正が進められてしまいました。

 しかし、皇室典範は憲法ではなく国会が制定する「法律」です。たとえ、不十分な法改正がなされたとしても、国民が政治を注視し、民主主義のプロセスを通じて意思を示し続ければ、国会でいつでも再改正は可能です。すべては国民一人ひとりの意識にかかっています。

 皇室の女性に「男子を産むこと」を強いるような重圧は、現代社会において許されるものではないでしょう。皇室が真に安定し、将来にわたり国民から敬愛と祝福を受け続けるために、私たち主権者一人ひとりが、いま改めてこの問題から逃げずに正面から向き合うべき時を迎えています。

長浜博行 1958年生まれ。立憲民主党参議院議員。前参議院副議長。元環境相。元官房副長官。上皇陛下の退位・皇位継承問題などの議論に長らく携わる(衆4期、参4期)