同書で特に手がかりとなるのが、ヤンキース1年目の2003年6月、打撃不振に陥った松井氏とトーリ監督のやり取りだ。トーリ監督は、結果が出ていなくても仕事ぶりには満足していると伝えたうえで、打席での立ち位置をホームベースに近づけるよう助言。その日、松井氏は二塁打3本と本塁打を放ったという。
「このエピソードから読み取れるのは、トーリ監督が結果だけで選手を評価せず、取り組む姿勢を認めながら、改善につながる具体的な助言をしたことです。不振の選手に結果ばかりを求めれば、焦りを強める可能性もあります。まず努力を認め、そのうえで修正点を伝える。選手の自信を支えながら、次の行動を促す接し方です。松井氏が監督として選手と向き合う際にも、こうした経験は参考になるはずです」(出版関係者)
長嶋氏との打撃練習では、素振りの際にボールを捉えるポイントで短い音を出し、その音を繰り返せるようになるまで練習したという。ここからも、ただ指示を出すのではなく、選手自身が感覚をつかみ、納得して身につけるまで導く指導のあり方がうかがえる。
OBが指摘する松井監督の“不安材料”
ネット上では、松井氏の監督像について、《選手の気持ちを大切にしながら、一人ひとりの力を引き出すチームになりそう》《名将から学んだ選手との接し方を、巨人でどう生かすのか気になります》《選手と一緒に成長するという言葉どおり、若手を育ててほしいです》といった声が聞かれる。
「巨人OBの髙橋尚成氏も、松井氏について『監督がすごく目線を下げて、選手に寄り添ってコミュニケーションを取っていくような、そんなチーム作りをするんじゃないかなと思う』と語り、トーリ監督から学んだ手法を取り入れるのでは、と推察しています。一方、巨人で松井監督とチームメイトだった野球解説者の広澤克実氏は、監督に必要なのは『勝負勘』だと指摘しつつ、それを養うには『ギャンブルを楽しむしかない』との持論を展開。実際、野村克也氏、星野仙一氏、長嶋氏、王貞治氏も麻雀好きであることを挙げ、不安材料があるとすれば、松井氏の真面目な性格を挙げています」(スポーツ紙記者)
選手の努力を認め、課題を伝え、自ら考えて成長できるように導く。2冊の著書から見える松井氏の考え方が、巨人のチームづくりにどう生かされるのか。


















