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 遺産相続がテーマの秋ドラマ『遺産争族』(テレビ朝日系)が始まるなど、親族間のトラブルといえば、真っ先に思い浮かぶのが相続トラブル。

「相続トラブルに、財産の多い少ないは、実は関係ありません」(不動産コンサルタントの田中歩さん)

 ではモメやすいケースとは?

「モメやすいのが、東京23区内に自宅があるというケースです。土地が小さくて分けにくく、地価が高くて相続税が発生することもあります。共有名義にしたとしても、誰が住むかでモメてしまうケースも」(田中さん)

 うちは持ち家じゃないから、そんな心配ないなどと、安心するのはまだ早い。

「遺産は現金のみという場合でも、“おまえ、あのとき学費を援助してもらっただろう”“同居して介護とかいって、親の金を使い込んでいるんじゃないか?”といった疑惑が渦巻いて、どのように分けるかでモメるのです」(田中さん)

 いったいどうすればいいのだろうか?

「前もって親子で遺産相続について話し合っておくことです。できれば“残された子どもが悲しい思いをしないように”と、遺言書を書いてもらいましょう」(田中さん)

 その話し合いは、親の気力がしっかりしている70代くらいのうちにすませておくのがオススメ。80代を過ぎると、相続の話を“縁起でもない”と嫌がってしまう親は多いからだ。

「相続前であれば、1級ファイナンシャルプランナーや税理士に相談し、税負担をトータルで軽減するような対策をとることも可能です」(田中さん)

 遺言書は、書けばいいというものではない。

「気をつけなくてはならないのは、日付や名前を入れるといった形式を守ることです。専門家が必ずしも入らなければいけないわけではないですが、間違いがないのは専門知識のある弁護士や司法書士に手伝ってもらうこと。いちばん確実なのは、『公正証書』という形式で作る方法です」(徳原弁護士)

 なお、法的な形式を満たした遺言書であっても、

「“〇〇に全部相続させる”といったような内容があると、ほかの相続人から“自分には回ってこないのか”と不満が出て、トラブルにつながるケースが多いです」(徳原弁護士)

 もらえない人は泣き寝入りするしかないのか?

「遺言書自体は、故人の意思ではありますが“絶対”ではありません。遺留分請求や、相続人全員が合意すれば内容を変えることも可能な場合があります」(徳原弁護士)

 しかし、全員が納得し解決するケースは少なく、ドロ沼化することも多いそう。裁判所での話し合いになれば、最低でも遺留分(法定相続分の2分の1)はもらえるよう考慮されるだろう。とはいえ、裁判までもつれこむと禍根が残る。

「遺言書は、あらかじめ遺留分も考慮した内容にしてもらったほうがいいですね」(田中さん)