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 国立がん研究センターでは、今年、がんで死亡する女性は15万7000人になると予測している。いまや国民の2人に1人が、がんになる時代で他人事ではない。

「だからといって、いつまでもパニック状態ではいけません。がん宣告直後は精神的に不安定になり、医師の言葉がなかなか頭に入ってこないもの。難しいかもしれませんが、まずは冷静になることを心がけて」(ファイナンシャル・プランナー黒田尚子さん)

 黒田さん自身も'09 年に乳がんの告知を受けた。

「私はがんを宣告されたとき、自覚症状がまったくなかったので“ウソでしょ〜”と思いましたよ(笑い)」

 がんは情報戦。宣告されたら、最善の治療法を選択するための情報収集の時間を作らなくてはいけない。

「医師も仕事なので、治療法やスケジュールをどんどん説明してきます。そこで、医師に“ちょっと待ってください”と言えるかどうかが重要。“家族と相談したいので、今、お話しされた治療法を紙に書いてください”と伝えてください」(黒田さん)

 また医師から伝えられた治療法だけを鵜呑みにしてはいけない。

「例えば、信頼度の高い『国立がん研究センター』のホームページにある『がん情報サービス』で“どんな治療法があるのか”を調べ、それを医師に相談してみる。あなたの病気に関する情報をいちばん持っているのは、やはり目の前にいる主治医。“信頼できるがん情報はどこで得られるのか”を主治医に聞いてもよいです。信頼関係を築きながら自分の気持ちも伝えて、一緒に治療法を考えましょう」(黒田さん)

 最善の治療法を探るうえで、セカンドオピニオンも頭に入れておきたい。

「主治医の意見を聞きつつ、別の医師からも意見を聞くのは、患者が持つ当然の権利です。診断が難しいがんや複数の治療法を提示された場合は受けておくべき。民間保険にはセカンドオピニオンが無料で受けられるサービスがついていることもあるので、保険会社に確認してみましょう」(黒田さん)

 また、心構えも大事だが、お金があってこその話。

「一般的にがんにかかる医療費は100万~200万円といわれています。ちなみに私は、がん告知を受けてから今までかかった治療費は、約274万円。高額になったのは、保険適用外の乳房再建を人工物(シリコン)を用いたインプラント法で行ったためです」(黒田さん)

 がんの治療はケースバイケース。がんの種類や進行度、治療法によって大きく費用は変わってくる。

「お金がなくて、自分が納得できる治療を受けられない─。そんな状況にならないために、預貯金やがん保険などの民間保険で費用についても考えておかなければならないのです」(黒田さん)