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 ケガに手術と身体のアクシデントが多かった今シーズンの羽生結弦。五輪王者は休養せず、16日から始まる国別対抗戦に初めて出場するという。

 ポイントもつかないこの大会になぜ彼は出場するのか。そこには、譲れない思いがあった。

「負けたイメージのまま終われません」

 3月のフィギュアスケート世界選手権で、銀メダルとなり日本人初の連覇を逃した羽生結弦。4月16日に開幕の国別対抗戦出場が決まると、こう闘志をむき出しにした。

「国別対抗戦は、まさに雪辱戦という思いのようでしたね。取材陣から“今季初のノーミスで演技を終えたい気持ちがある?”と聞かれると、“あります! 絶対にやりますよ!”と、気合十分でした」(スポーツ紙記者)

 ただ、’14 ―’15 シーズンは災難続きだった。昨年11月の中国杯での激突事故に始まり、腹部の手術、右足首の捻挫など、万全の状態で挑めた試合はなかった。それだけに、今回も羽生結弦ファンとしては、体調が心配になるばかりだ。

「中国・上海の世界選手権から帰国した時点では、出迎えたファンのねぎらいの言葉に笑顔で応えながらも、国別対抗戦出場は未定で、“出ないなら、しっかり回復させて来季につなげたい”と控えめでした。世界選手権で負けたフェルナンデスの母国・スペインも国別対抗戦に参加しないので、リベンジという意味合いも薄れる。また、ランキングポイントがつくわけでもなく、あくまでも団体戦なので、左ひざを故障していた’12 年の大会同様に辞退しても不思議ではなかったんです」(テレビ局関係者)

 どちらかといえば、お祭り的な要素が強い今大会。元フィギュアスケーターでタレントの渡部絵美さんもこう話す。

「この大会は興行的な意味合いが強いので、羽生くんが出ないとお客さんが集まらないんですよ。体調が万全でなくてもプレッシャーはないので楽しんで滑ってほしいですね」

 羽生サイドは当初、大会に欠場して休ませるつもりだったという。だが、連盟サイドの都合が、それをすんなり認めなかったとも。

「国別対抗戦は国際スケート連盟公認大会ですが、過去すべて日本で開催されてきた。つまり、日本スケート連盟にとっては“ドル箱”の大会なんです。いまどきSS席2万円、S席1万7000円なんて高額なチケットがあっという間に完売し、1万人収容の代々木体育館をいっぱいにするアマチュアスポーツはないですからね」(前出・テレビ局関係者)

 前回、前々回と男子は高橋大輔がエースとなり、大会を盛り上げてきた。だが、その大黒柱は昨年、引退している。

「全日本2位の新鋭・宇野昌磨と3位の小塚崇彦が出場して、羽生がケガの治療に専念してもおかしくなかった。だが、世界選手権で12位と惨敗した小塚はすでに現役引退を決めているようで、出場する可能性はゼロ。そのうえ、女子シングルスの村上佳菜子と宮原知子の人気がパッとしない。となれば、連盟にとっては羽生だけが頼りなんです」(スポーツ紙デスク)