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 中京大非常勤講師としてスケートレクリエーションのコーチをしていた小塚崇彦選手の父親である嗣彦氏。

 '12年5月31日、その助手をしていたスポーツ科学部に在学中だったAさんへの強制わいせつ行為をしたとして、訴えられていることが判明した。

 記者が嗣彦氏へ直撃するも、訴状の内容を真っ向から否定。そこで、Aさんの自宅も訪問した。応対したのはAさんの母親である。

「崇彦クンのこともあるし、私たちは誰にもこのことを話していません。なるべく小さく小さくしようとしていたのに、相手方は“向こうが逆に誘ってきた”などと反対のことを言い出したんです。

 自分の生徒たちには“そういうウワサがあるが自分はやってない”とか言っているみたいで……。私たちとしては、なぜそこまでシラを切れるのかが信じられないです。指導者として信用していたのに、そういうことができるというのは……私たちが甘かったのかなと思う」

 Aさんの母は、涙ながらに思いのたけを話した。

 訴状などによると、お互いに弁護人を立てるなどして、'13年2月12日に中京大学内で嗣彦氏はAさんと両親に1度謝罪をしている。しかし、その後に弁護士が代わってから彼の態度が一変。

「食事は原告から誘った」

「身体に触ったのは原告の幼少からのなじみから“ハグった”にすぎない」

「当時は原告の両親も食事に同意し、原告本人も自宅まで送ってもらって機嫌はよかった」

 などと主張するようになったという。

 Aさん側は'14年1月に被害届、9月に強制わいせつで告訴状を名古屋市内の警察署に提出。しかし、証拠不十分で不起訴処分になった。それを受けて、改めて慰謝料500万円を求める民事訴訟を起こした。その理由をAさんの母はこう言う。

「お金の問題じゃないんです。生活にも困っていませんし。崇彦クンのこともあるし、指導者として信用していたから食事に行かせたのに、まさかこんなことになるとは……。

 警察のお世話になるなんてテレビドラマの話で、私たちにはまったく関係のないことだと思っていました。警察の方もよくしてくれました。やっぱり私たちが二次被害のことも考えて、すぐに警察に行かなかったのがいけなかったのかな……」

 嗣彦氏が事実を否定して開き直っていると感じ、娘を守るために警察を頼ったのだ。しかし、すでに事件から長い時間が経過していたことなどもあり、十分な証拠を集めることができなかったという。

「女性としていちばん許せないことじゃないですか。本当にやり切れない気持ちです。テレビで性犯罪のニュースを見ると、それだけで吐き気がします。やっぱり、もう1度認めてもらって、ちゃんと謝ってほしいというのがあるんです」(Aさんの母)

 Aさんは事件後、スケートをやめることも考えたが、大学が間に入って嗣彦氏は中京大のスケートリンクには出入り禁止となった。

「うちの子の見えるところには来ないという約束で、大学が配慮してくれました。娘は高校から中京ですから学校側も性格や素行を知っていて、娘を信用してくれたんです。やっと今、前を向けるようになって、地元のスケートクラブで子どもたちに教えています。

 でも、やっぱりこの世界にいる以上、同じようにコーチされている小塚さんの奥さんの姿を見たりして思い出すこともあると思うんです。スケートが好きで続けてきたのに、本当に悔しいというか悲しいというか……、情けない気持ちです……。親はみんな子どものことが大切で、小塚さんも崇彦クンの親だからこそ、と思っていたのに……」

 崇彦選手にとっても、こんな騒動は迷惑このうえないだろう。キャリアの総仕上げの時期を迎え、人生の伴侶を得て、新たなステップに踏み出そうとしているのだ。

 父親が元教え子から訴訟を起こされていることをどのように思っているのか、所属事務所に問い合わせた。

「小塚選手は(訴訟を)知っていますが、本人とは関係のないことのため、コメントもなにもございません」