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 『ガンダーラ』『モンキー・マジック』『銀河鉄道999』などのヒット曲を持つバンド「ゴダイゴ」のリーダーであるミッキー吉野。

 4歳でピアノに触れ、映画『愛情物語』のカーメン・キャバレロのピアノに感動してピアニストを志したという自身の半生と音楽について、そして日本の音楽シーンを振り返る『ミッキー吉野の人生の友だち』を出版された。

「'60年代後半までは“ロック・バンド”という概念が日本にはなくて、当時は楽団とか、グループサウンズって言われていたんです。そういう意味では、日本初の本格的なロック・バンドは“ザ・ゴールデン・カップス”なんですよ」

 そのザ・ゴールデン・カップスにわずか16歳で加入。

「僕がいちばん若くて、みんなの言うことを聞いていたので誰よりも客観的に見ていた。だから記憶に残っているんじゃないですかね」

 当時考えていたことや出会った人、曲、そして場所などが克明に記録された本書を読むと、その記憶力のよさに驚かされる。

「記憶力だけは定評があったんですよ。小さいころから近所のおじいさんと高校野球から幕下の力士のことまで話したりしていたので、よく新聞を読んでいたんです。それから小学校4年生くらいで急に漫画を読まなくなって、突然読み始めたのが『人名辞典』。

 漫画よりも楽しくて、こういう人がいたんだ、っていろんな人に興味を持つようになって、それからヒューマンウオッチングをするのが好きになったんです。そういうのもあるのかな。あと僕は地理とかも好きで、世界地図や地名などを記憶したり、電話番号とかも自分でも嫌になるくらい覚えちゃうんですよ。いまはもうダメですけどね(笑い)」

 その後ミッキーさんはアメリカのバークリー音楽大学に留学、ゴダイゴ結成につながるひらめきを得る。“ゴダイゴ”という音から発想が始まり、“GODIEGO”というスペルが生まれ、さらにさまざまな意味が生まれていった驚きの過程は本書に綴られている。

「ゴダイゴって名前もそうだけど、自分なりに分析するのが好きなんですよ。いろんな角度から数字とか漢字、単語を見て、意味を自分なりに解明するのを“ミッキー理論”と呼んでいるんです。例えば、“朝”という漢字はバラバラにすると『十月十日(とつきとおか)』と読めて、それで人は生まれて“朝”を迎える、とかね。ゴダイゴもどう解釈するか、どんな意味を見つけるか、ということから生まれた名前なんです」

 そうしたいろいろな意味を探していると、毎日何かを見つけたくなるんですよ、と笑う。

「僕、人生は“ひらめき”だと思うんです。ひらめきが“答え”なんですよ。でも、みんなひらめきを忘れちゃうから、答えを見失ってしまうんです。そのひらめきを忘れずにいれば、偶然を必然にできる。ただ、何かがあったとき、みんな“それは偶然だ”と言うと思うんです。

 でもそれを偶然で終わらせてしまうから“点”で終わってしまう。それを必然にしていけば、点を“線”にできるんです。僕が若い時に作った曲で、当時は未熟で表現できなかったことが、年を重ねたことで“こうしたかったんだな”とわかると、感動になる。

 それは音楽を続けていたから、そして当時のひらめきを覚えていたからなんです。何かを続けていれば点が線になり、素晴らしいことが待っている。そこにギフトがあるんじゃないですかね。とにかく思い続けないといけないんです」