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 少し前に、ビートたけしがテレビ番組内で最近の若手芸人に対して苦言を呈したことが話題になった。礼儀を知らない若者は一般社会にも増えているという。真相を確かめるべく、読者のナマの声やマナーの専門家に話を聞いてみた。

「芸能界もね、師匠と弟子の関係がなくなってきて、お笑い学校がメインになったときに先輩後輩の区別がつかなくなって、失礼な若手がいっぱい出てきているワケ」

 5月8日、『ビートたけしのTVタックル』(テレビ朝日系)で、たけしが吠えた。礼儀知らずの若手芸人が増えていると嘆いたのだ。

「われわれは先輩後輩で育ってきているワケだから、どんなに売れていない先輩でも敬語を使ってお茶ぐらい出すっていうのが常識だったのに」

 吉本のNSCなどの養成学校から芸人になるのが普通になり、師匠のもとで修業するのは今や少数派。売れればいいという風潮を大御所が叱責した。挨拶すらまともにできない若手芸人もいるという。

「お笑い芸人になりたての男の子と初対面で名刺を渡したら、彼はいきなり口に入れたんです。そしてムシャムシャと食べるフリを……。本人としてはボケのつもりだったのかもしれませんが、全然面白くない。ア然としてしまいましたね」(制作会社関係者)

 仕事相手にも無礼な振る舞いをする若手芸人がいるそう。

「翌日の仕事場に集合する時間をLINEで伝えたときに、“OK”という絵文字だけを送ってきたり、打ち合わせを兼ねた食事をしたときも、ずっと携帯電話をいじっていたりと非常識だなと感じましたね」(放送作家)

 芸人に限らず、若者全体にダメ出しするのがロンドンブーツ1号2号の田村淳。

《成人式なんてやめちゃえば? ~中略~ 荒れ狂う若者急増で全国的に廃止って流れでよくね? 個々でやれば♪》

 今年1月に茨城や沖縄の成人式で乱闘騒ぎがあり警察ざたになったことを受けてのツイート。若者を激励するために戦後に始まったという成人式の歴史をふまえながら、暴れるだけの儀式ならばやめたほうがいいと主張する。

 一方、ちょっと毛色の違う意見を持っているのが有吉弘行。ラジオ番組『有吉弘行のSUNDAY NIGHT DREAMER』(JFN)で、楽屋にしつこく挨拶に来る若手にブチ切れした。

「有吉さんは楽屋挨拶をするのもされるのも大嫌い。前に『アメトーーク!』(テレビ朝日系)の“芸人の新ルールを考えよう”という企画で、“さまぁ~ず以下の先輩には楽屋挨拶は必要ない”という提案をしていました。

 それでも挨拶に来る若手には、2度と来るな! と説教していますよ(笑)。そのせいか、最近では若手が楽屋挨拶をしなくてもいいという風潮になりつつありますね」(テレビ局関係者)

 現代の若者が礼儀知らずというのは本当なのだろうか。マナーに関する数々の著書を持つ、現代礼法研究所の代表・岩下宣子さんに話を聞いた。

「昔より自分に自信がないのだと思います。それは心に余裕がないということ。他人に対する配慮ができなくなっているんだと思います。自分のことで精いっぱい。かわいそうだなと思います」

 かわいそうと言うのは、ゆったりとしていた昔に比べて社会がギスギスしているから。

「メールをすぐに返信しなきゃいけないとか、LINEの既読スルーがいけないとか、大らかさがなくてお気の毒だなと思いますね。マナーって人に対する配慮なんです。思いやりなんです。大切なのは形ではなく心。