半田健人が昭和のアイドル史をひもとく

 手の届かない特別な存在、それが“昭和のアイドル”の条件だった。

 昭和歌謡とアイドルの関係に造詣が深い俳優の半田健人さんは、アンケート結果を見て「男性は西城秀樹さん以外、ジャニーズばかり。女性はソロ歌手の活躍が少ない今の時代からみると、ホッとします」と語る。

半田健人 撮影/佐藤靖彦

 半田さんによれば、こうしたアイドルの源流は1960年代後半に登場したグループ・サウンズ(GS)にさかのぼるという。

「ビートルズの影響からGSが生まれました。GSファンは、ほぼ女性だけ。それまでこんな歌手はいなかったのです」

 だが、GS人気が下火になると、才能あるGS関係者は作曲家やプロデューサー、スタジオミュージシャンといった“裏方”へ回るように。のちのアイドル・ブームは彼らの存在が大きい、と指摘する。

「GSブームまっただ中の'68年にデビューしたのが元祖アイドル、フォーリーブス。そういった意味では女性から圧倒的な支持を受ける男性アイドルは、日本独自の、ジャニーズの文化と言っていいと思います。

 この流れで'72年には郷ひろみさんがデビュー。“新御三家”の1人として、野口五郎さん、西城秀樹さんとともに大人気に。その後も数々のオーディション番組から、この3人をベースにしたアイドルが誕生していきました」

 かたや女性アイドルは南沙織、小柳ルミ子、天地真理の“新三人娘”がはしり。

「南沙織さんは、男性人気によってスターとなった最初のアイドル。天地真理さんは典型的なアイドルで、いい意味での“ウソ臭さ”があった。小柳ルミ子さんには、いい楽曲と歌唱力がありました」

 この時代のアイドルを語るとき、'71 〜'83年のオーディション番組『スター誕生!』ははずせない。

「森昌子さん、桜田淳子さん、山口百恵さんの“花の中三トリオ”の成功は大きかった。ピンク・レディーは曲や衣装、踊りといった、腕のある仕掛け人から用意されたものを、2人がすべてこなしていたところが本当にすごいと思いますね」

 また、同時期に増えていったのが音楽番組だ。フジテレビ系『夜のヒットスタジオ』('68年〜'90年)をはじめ、NHK『レッツゴーヤング』('74年〜'86年)、TBS系『ザ・ベストテン』('78年〜'89年)などを通して新曲をチェックできた。

 そしてパラシュートを背負うなどの奇抜な衣装で『TOKIO』を熱唱した沢田研二や、派手なチェック柄に身を包んだチェッカーズらを見るにつけ、斬新な衣装やパフォーマンスへの期待に胸を高鳴らせたファンも多かっただろう。また、後楽園球場でのキャンディーズ解散コンサートはいまや伝説だ。