隣家の柿の枝がこちらの敷地に……落ちた実をそっと拝借☆

 はい、レッドカード! 法律上は、柿の実はどこにあっても相手のもの。

「民法89条に、天然果実(=柿の実)が木から離れるとき、その果実を得る権利は元の木の持ち主にある、という旨が書かれています。勝手に食べれば所有権侵害」と、桑原弁護士。

 ただし、どこにある実を食べたかによって科せられる罪は異なってくるという。

木からもいだら窃盗罪。自分の家の庭に落ちた柿の実を拾って食べたら占有離脱物横領罪にあたります。木から離れて他人の敷地内に落ちた=占有から離れたと解釈できますから」

 かといって伸びた枝を勝手に切るのも民法ではアウト。境界線を越えた枝は、木の所有者に切除させる権限しかないのでご注意を。

保育園にクレーム殺到! 「子どもの声」は騒音ですか?

 子どもの声をめぐるトラブルが全国で急増! ’14年には、保育園の園児の声で騒音被害を受けたとして裁判ざたになっている。

「一般的に騒音被害は、被害を受けている側、与えている側の双方の利益や事情を考慮しつつ、その音が社会的な受忍限度を超えているかどうかで判断されます。超えている場合には、防音設備の設置や損害賠償請求などが認められることもあります」(桑原弁護士)

 前述した裁判は「子どもの声がうるさい」として精神的苦痛を訴える男性が保育園に対し、防音設備の設置と慰謝料100万円を求めたもの。神戸地裁は2月、工事などの騒音と同じ基準で男性宅からの数値を測定した結果、受忍限度内であるとして請求を棄却した。

「東京都では’15年に環境確保条例を見直し、保育園の子どもの声を騒音の規制対象からはずしました。保育園の騒音被害はより認められにくくなったといえます」

餌づけが日課の猫おばさんをやめさせるには?

 野良猫を放っておけず、見かけるたびに餌を与える近所の“猫オバサン”。おかげでウチにも猫が寄ってきて鳴き声はうるさいし異臭もするし……。

「猫を愛する気持ちから、見かけた猫に1度餌やりするくらいなら問題はありません。しかし、継続して餌づけすることにより近隣住民がニオイやふん尿、鳴き声などに悩まされ、生活の平穏が侵されれば、不法行為とみなされ損害賠償を請求される場合があります

 と作花弁護士。

 プロ棋士の加藤一二三九段が自宅の集合住宅で野良猫に餌を与え続けたため、住民らが損害賠償などを求めた裁判では、加藤棋士に対し餌やりの中止と約200万円の慰謝料の支払いが命じられた。

「動物愛護の観点から考えると一概に餌をやるなとは言えませんが、常識的な範囲を超えたらアウト。周囲に不快感を与えない配慮は常に忘れてはいけません

<プロフィール>
◎作花法律事務所・作花知志弁護士
外国人事件、宇宙法、知的財産権など扱う分野は多岐にわたる。ブログでも日々のニュースや流行、芸術について独自の観点から解説

◎日本橋桑原法律事務所・桑原真理弁護士
第一東京弁護士会所属。民事・刑事を問わず幅広い分野を扱い、とりわけ男女・離婚・相続問題に対する取り組みの丁寧さに定評あり