亡くなった佐藤麻衣さん(本人のツイッターより)
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 2人は麻衣さん宅付近でもたびたび目撃されていた。

 近所の40代女性は「学校帰りに自宅前で座って話しているのを見ました。仲がよさそうでしたよ」と語る。

 麻衣さんはツイッターでAとのデートについて投稿していた。学校近くのカフェに行ったことや、から揚げ丼を食べたことなど絵文字を交えて楽しそうに書き残している。

 火災前日の3日、2人は錦糸町で映画デートをしていた。麻衣さんは過去にツイッターで『名探偵コナン』について投稿したことがあり、映画館ではちょうど『名探偵コナン から紅の恋歌』が上映中だった。午前10時10分と午後5時55分の1日2回。午後の回では帰宅時間と合わなくなるため、午前中からデートしていた可能性がある。

 一方で、Aは事件数日前に携帯電話で「油燃える」「道に生えている毒草」などと検索していた履歴が判明しており、計画的犯行の線が浮かんでいる。殺意を秘めた相手と長時間デートするだろうか。

 麻衣さんは周囲から評判のいい女性だった。

 同じ小学校出身の若い女性は「児童館の行事で一緒になったことが何度かあり、私を慕ってくれて素直ないい子でした。事件はとてもショックです」と言葉を詰まらせた。

 幼少期の麻衣さんを知る60代の女性は、「シャキシャキした感じの可愛い子でした」と振り返る。

「弟と仲よく自転車で遊んでいたのを覚えています。ニュースで顔写真を見て、こんなにきれいに成長したのに……と残念に思いました。逮捕された少年は心が腐っていますよ。どうしてあんな子とお付き合いしちゃったのか」

 と悔しさをにじませた。

 麻衣さんの葬儀には大勢の同級生らが参列した。自宅前には今も花が手向けられている。やさしい面影の麻衣さんに似合う淡いピンク色のカーネーションとガーベラがまとめられていた。

「剣道の関係者という女性が麻衣さんのためにお花を買っていかれました」(近所の生花店)

 なぜAは恋人にひどいことをできたのか。新潟青陵大大学院の碓井真史教授(社会心理学)は「犯行動機など事件の全容が解明されていないので断定的なことは言えないが」と前置きして話す。

「一般的に憎しみにはしばしば愛情が絡む。愛してくれて当然だと思っている相手がそうしてくれないと激しい怒りを感じるんです。特に若者は恋愛幻想を持っており、恋こそすべてという価値観を抱きがち。“自分はこういう人間だ”というセルフイメージが完成されていないので、悪口など否定的な言葉を言われると自分自身が揺らいで極端な行動を引き起こしやすい」

 事件を未然に防ぐことはできなかったのか。捜査の進展が待たれる。