■35年前、就任してやったこと
1980年よりハローキティの3代目デザイナーを務め、誰もが知っている人気キャラクターへと育て上げた山口裕子さん。
「まず私がデザイナーに就任してやったのは、ファンの人たちの疑問を解明していくこと。例えば“キティは何が好きなんですか?”“キティと、双子の妹・ミミィの性格は同じなんですか?”など、寄せられた疑問に答えながらストーリーを作っていきました」
昨年、40周年を迎えたハローキティは、レディー・ガガやパリス・ヒルトンなど海外セレブも夢中になる存在に成長。
■安室奈美恵や藤井フミヤからヒント
しかし、最初から爆発的な支持を得ているというわけではなかった。
「’99年3月3日に、ディアダニエルというボーイフレンドがいると発表したことが大きかったと思います」
その当時、女子高生を中心に絶大な人気を誇り、カリスマ的存在だった安室奈美恵が、テレビで彼氏の存在を明かしたことからヒントを得たと言う。
「ボーイフレンドの存在はタブーだと思っていたので、それまではずっと、聞かれてもあいまいにして答えていました。でも、キティ自身に、その時代の流れを反映させることにしたんです。
実は、キティがいろいろなものに変身するようになったのも、当時の女子高生が何気なく言った“キティちゃんがハチになったらかわいい”というひと言から。その言葉で、キティちゃんをハチにしてみようと思いつき、変身第1号の“ハチキティ”が誕生しました」
ファンの気持ちを第一に考え、何をしたら喜ぶのか想像する。さらに、山口さん自身が体験した“トキメキ”をプラスすることも。
「藤井フミヤさんとお会いした時に、ずっとファンだったことを伝えたら、“ありがとう”ってハグをしてくれたんですね。それから、好きな人にハグをしてもらうのは誰でもうれしいんじゃないかな? と思って。キティにもやらせたい! と思い、40周年のキービジュアルを“ハグ”にしたんです」
■今後、キティにさせたいこと
35年にわたり、キティと二人三脚で歩んできた山口さん。その関係について、今は“ビジネスパートナー”だと答える。
「どうしたらキティを人気者にできるのかと考えた時、どんなキティが見たいのか、それをいちばんわかっているのはファンのみなさん。たくさんの人に意見を聞いて力をもらい、それをビジュアル化していける立場にあるのが、デザイナーの私だと思っています」
今後、キティにさせたいことは、なんと歌手デビュー!?
「歌ったり踊ったり、ショーをしているキティを全世界の子どもたちに見せてあげたいですね。
まずはキティがエンターテイナーである姿を知ってほしいので、CDデビュー! そして世界じゅうが見られる番組『NHK紅白歌合戦』に出場させることが今の目標! 子どもたちに夢を与え、喜んでもらえる仕事がいちばんだと思っています」