
江藤前農水大臣の「米買ったことがない」失言からわずか2週間。
小泉進次郎新農水大臣の随意契約による備蓄米放出で、イオン、ヨーカ堂など大手スーパーの店頭に5キロ約2000円の米が並び、その効果かはわからないが、その他の小売店でも棚から消えていた米が並び始めたという。
そのスピード感で、ひとまず賞賛されている「小泉効果」だが、その武器となる備蓄米は放出前の3分の1となり早くも“弾切れ”が囁かれている。
そもそも「ミニマムアクセス米」とは?
そんな中、小泉農相は3日「(備蓄米を)仮に全部放出して、その後どうするかについては、ミニマムアクセス米の活用も可能だ」と国会で発言。また、4日には会見で「ミニマムアクセス米も含めて、あらゆる選択肢を考えて、コメの価格の高騰をなんとしても落ち着かせる」と述べた。また、6日の会見では、外国産米の政府による緊急輸入もあり得るとの認識を示した。
小泉氏が追加の切り札にしようとしているミニマムアクセス米とは?
「日本は1980年代まで米の輸入をほとんど行っていませんでしたが、多国間貿易交渉『GATTウルグアイラウンド』(1986年〜1993年)の合意で最低限輸入しなければならない米の量を課されました。こうして1995年から輸入しているのがミニマムアクセス(MA)米です。1999年に米の輸入制限が撤廃され、関税が課されるようになってもそれは継続しています。MA米は国内の米価格に影響を与えないよう、国が一元的に管理しています。輸入量は現在、年間約77万トン(玄米ベース)。アメリカやタイ、中国などから輸入されています」(全国紙記者)
このMA米はあまり目立っていないが以前から物議のタネであった。
2024年の米の需要量が700万トンなので77万トンは11%。割合としてそれなりに大きいため食料自給や財政負担の観点からも輸入を減らすべきという議論がある。また主に加工用や海外援助用に利用しているものの消費しきれておらず、政府としても言葉は悪いが「扱いに苦慮している」存在なのだ。
また、MA米には「三笠フーズ事件」という苦い記憶もある。
米卸売加工会社「三笠フーズ」が2004年から2007年ごろ、カビや基準値を超える残留農薬などが検出された「事故米」を農水省から工業用のり原料として安値で購入し、食用として不正転売、学校給食などに流通していた事件だ。社長は実刑判決を受け、時の農水大臣と農水事務次官が辞任している。この事故米には国産米もあるが、MA米から来たものもあるとされている。
そのため、SNS、掲示板上では、
《ミニマムアクセス米(毒米)を日本人に食わせるつもり》
《横文字にして危険性をぼかしている》
《主食にするのは危険だ》
などと早速主食としての流通を危ぶむ声が出ている。
さてこのMA米、実際の安全性はどうなのだろうか。獣医師、ジャーナリストとしてコロナ禍から多くの医療情報を発信する星良孝さんに聞いた。