「三笠フーズ事件以後、農水省は、米の輸入時に、輸出国(産地国)において、試料を採取し、かび毒、重金属及び残留農薬等の検査を行い、食品衛生法の基準等に適合した米のみを買い入れるなど、ルールを厳格化しています。対策強化によって農薬関連の有機リンのような問題成分の混入はかなり減ってくると考えられます。アメリカで市販されている米からヒ素やカドミウムが検出されたという話もあり、海外産の米にリスクはありますが、対策が強化されたことで危険性のある米が弾かれているのは好ましい状況といえるでしょう」

 ミニマムアクセス米の安全性を論ずる際によく取り上げられるのは発がん性があるカビ毒「アフラトキシン」で、これが国内での備蓄の過程で発生するリスクも考えられるが、

「農水省はMA米を販売する直前に、全量を解封し、1袋ごとにカビ状異物を目視等で検査するとともに、試料を採取し、カビ毒を分析すると公表しています。食品用では、カビ状異物が混入していた容器包装ごとに全量廃棄処分。カビ状異物が混入していない容器包装の米穀についても、カビ毒の分析をして、規制値以下の濃度であることを確認したもののみを販売しているとのことです」

 ちょうどこのような検査が始まった2009年にMA米からカビの発見が相次いだというニュースがあったが、その後確認する限りない。対策強化で弾かれているのかもしれない。

「災い転じて福となすという状況ではないでしょうか。もっとも日本国産米でもカドミウム混入が問題になることがあり、必ずしも国産米だから100%安全とならないケースもあります。国内外よらず、検査をして、問題成分の混入を防いでいく対策が求められるでしょう」

 また、仮に発がん性物質、殺虫剤などに汚染された米を食べた場合の健康的影響についてはこう話す。

「発がん性分は、カビ毒のアフラトキシンのほか、重金属のカドミウムやヒ素。殺虫剤汚染は有機リンが考えられます。これらを食べたときには、アフラトキシン、カドミウムやヒ素は、リスクを高めるという問題なので、継続的に摂取した場合に、がんの可能性が高まるということです。一回食べてどうなるかという問題ではないでしょう。現在の検査体制から見ると、現実的に、これで即がんというわけではないといえます。

 有機リンについては、高濃度である場合に、神経に影響するので、影響がいろいろ出る可能性があります。最悪呼吸困難などになる可能性はあります。ただし、これも検査体制を考えれば高濃度の混入がされている状況にはなく、心配はないと考えられるでしょう」

 いずれにせよ現時点でわかるのは、MA米については安全性の検査はなされているということ。MA米に危険性があっても1回食べて即影響ということはなく、また検査体制を考えると健康被害が出るほどの悪影響は考えずらいということ。ただし、気になるのはMA米以外でも外国産米の緊急輸入が検討されていること。こちらもMA米同様の検査体制が敷かれることになるのかも含め、続報を待ちたいところ。