いじめ被害者や自殺を考える子どもたちへのメッセージを書いた色紙を持つ小森新一郎代表理事と妻で理事の美登里さん(右)。色紙はいじめで子どもを亡くした親ら12人から募った
すべての写真を見る

 さらに、教師の目に触れないいじめがネットに広がっているのも近年の顕著な傾向だ。

「LINEやツイッターなどSNSのいじめも増加しています。“学校来るな”“死ね”などの中傷はわかりやすいのですが、当事者にしかわからない内容でのからかいもあります。ネットでのいじめは、子ども本人が“いじめられている”と告白しない限り、わかりません」(前出・井澤氏)

 と深刻な実態を明かす。

 トラブル抑止のためLINE株式会社では、学校などに講師を派遣する啓発活動やその教材作りをする。一律の解決策はない、としながらも、

「大人は子どもの利用実態や使用感覚をまず理解することが必要ではないかと考えています。そのうえで子どもと普段からネットに関するコミュニケーションをもち、トラブル時には信頼して相談してもらえるような環境づくりが重症化抑止のために重要です」

 と対策を伝えた。

学校に行かない選択もある

 子どもと親、子どもと教師の信頼感の大切さを訴える専門家は多い。

「自分の気持ちを受け止めてくれる大人に出会ったとき子どもたちは前向きになれるんです。出会いは命を助けます」と石井編集長。

 前出の高校教諭も「親と学校とが協力関係をもたなければ解決できません。生徒と教師の間に不信感が生まれてしまえば、生徒は話してくれなくなります」と経験を明かす。

 いじめによる自殺で娘を亡くし、いじめ問題の解決に取り組むNPO法人『ジェントルハートプロジェクト』の小森美登里さんは話す。

「いじめを受けていた生徒が勇気をもって先生に相談しているのに“様子を見よう”とか“いじめはない”と言われたら、さらに傷つきます」

 教師だけではない。

「親もそうです。私たちもそうでしたが“強さが必要”“頑張りどころ”などの言葉は子どもを突き放すだけです。いじめは子ども目線で考えることが重要です。助けようとしていても大人の思い込みが逆効果になることもあります」

 と注意を促す。

 同法人では新学期の自殺防止対策の一環としてメッセージの展示などを企画。展示は神奈川県横浜市を皮切りに、東京都港区、青森県などでも行われる予定だ。同法人の小森新一郎代表理事は、

「子どもたちはいじめを受け親も先生も周囲は誰も自分のことはわかってくれないという孤独を抱えた中で死んでしまいます。この展示を通して“たくさん味方がいるんだよ”と伝わればと思っています」

 と期待を込める。

 2学期へのカウントダウンが始まり、間もなく確実に新学期を迎える。

「学校は命をかけてまで行くところじゃない」と前出の石井編集長。小森美登里さんも、

「学校に行かない選択肢もあります。“うちの子に限って”はありません。突然、子どもが死んでしまうかもしれない危機感をもってください。子どもの命が最優先です」

 前出・井澤氏は悩みを抱える子どもたちに、

「親に相談できなければ近所の人、きょうだい、誰でもいいので、つらい胸の内を明かして、ひとりで抱えないで」

 と、呼びかける。通話料無料の『24時間子供SOSダイヤル』も、いつでも子どもたちの味方だ。