天気にまつわることわざはたくさんあるけれど、その信憑性は?

「テレビもラジオも天気図もなかった時代、昔の人は空や周りの動植物を見たり、自分の体調などから天気を予想していました。それを“観天望気”と言い、天気のことわざとして現在に言い伝えられているものもあります。必ず当たるわけではないんですが、理にかなっているものもわりとあるんですよ」(気象予報士の蓬莱大介さん、以下同)

■ネコが顔を洗うと雨

ホント。天気が崩れる前に湿気が多くなってくると、ネコの顔にいるノミが活発に動きだし、顔がかゆくなるといわれています。また、ネコのヒゲはすごく敏感なセンサー。湿気でヒゲがむずがゆかったり、重たさを感じたりすると気になって触るんですね。それが顔を洗っているように見えるわけです。ネコには、もともと顔をこする習性はありますが、いつも以上にゴシゴシしていたら雨のサインというわけです」

■クモの巣に朝露がかかっていると晴れ

ホント。夜、よく晴れると、地面の熱がどんどん空高いところへ逃げていきます。すると、地面付近の気温も下がります。これを放射冷却現象といいます。こうして寒くなると、空気中の水蒸気が水滴へと変わります。だから、早朝にクモの巣に水滴がついていたら、前日の夜はよく晴れたという証。すなわち、その日の朝から日中にかけても、天気はもつだろうということなんです」

■つばめが低く飛ぶと雨

ホント。つばめがなぜ低く飛ぶかというと、エサを狙っているからです。そのエサとは、小さな虫。湿気が多くなってくると、虫の羽は湿って重たくなり、低いところを飛びます。それを狙って、つばめも低く飛ぶというわけです。空気が湿ってくるというのは雨の前兆。逆に晴れているときには、地面が暖められ、上昇気流ができるので、虫は高いところを飛びます。すると、つばめも高いところを飛ぶというわけです」

■飛行機雲がなかなか消えないと雨

ホント。飛行機が飛んでいるのは、マイナス40℃の上空1万メートル付近。排気ガスの中には、雲のもととなる水蒸気と、非常に細かい粒子が含まれています。これが上空で急激に冷やされると飛行機雲になります。上空が湿っている状態だと、飛行機雲はなかなか消えません。30分以上消えなかったら、次の日は雨になる傾向がありますね。逆に上空がすごく乾燥していると、排気ガスは瞬時に消えるので、飛行機雲はできません。こういったときの飛行機を、流れ星やUFOと見間違える人も多いんですよ」

■茶碗のご飯粒がきれいに取れると雨

「昔はそう言われていたんですが……。要は、これも空気中の湿気の話なんです。湿度が高いと空気が湿っているので、茶碗についているご飯粒がきれいに取れます。逆に、高気圧におおわれ、晴れて空気が乾いていると茶碗のご飯粒がうまく取れないというわけです。昔の木造の家は、外気が入りやすかったので、このことわざも通用していました。ただ、今は建物の気密性も高いですし、空調もしっかりしていますよね。だから、現代には通用しないでしょう」

■古傷が痛むと雨

ホント。“ひざが痛むから雨が降る”“頭痛がするから天気が崩れる”なんていう人、いますよね? 急な天気の変化で自律神経が乱れると、体調を崩す原因になります。自律神経には、交感神経と副交感神経があります。交感神経は身体に負荷がかかったときに身体を活発にさせようとする神経。その近くには痛みを感じる神経も通っています。天気の変化によって交感神経が活発になると、痛みの神経まで反応してしまっているようです」

<プロフィール>

蓬莱大介さん
気象予報士、防災士。『情報ライブ ミヤネ屋』で気象情報を担当。著書に『気象予報士・蓬莱さんのへぇ~がいっぱい! クレヨン天気ずかん』(主婦と生活社刊)

『気象予報士・蓬莱さんのへぇ~がいっぱい! クレヨン天気ずかん』 ※記事の中で画像をクリックするとamazonの紹介ページに移動します