生徒の話の中に、気になる証言があった。

「生徒が困っているようなことがあれば相談に乗ってくれる気さくな先生」(高2男子)

 山崎元教諭本人も、文部科学省のインタビュー(平成22年11月22日実施)で「生徒のなかには家庭的に問題のある子が少なくない。学校内で対応しようとしてもどうしても限界がある」と答えていた。

 行きすぎた指導を、まるで肯定するかのような発言。

下心があるからやり取りもマメ

 元教諭は、県教育庁の事情説明に対し、「自分の気持ちの弱さから多くの人に迷惑をかけてしまった。女子生徒の心や身体を傷つけてしまって大変申し訳ない。自校の生徒や先生も裏切ることになってしまい、大変申し訳なかった」と、謝罪の言葉を口にしているが、どれだけ信用できるのか。

 生きづらさを感じる少女たちの支援を行うNPO法人『BONDプロジェクト』代表の橘ジュンさんは、

「先生でも、相談を聞いている大人が加害者になるケースはたくさんあります。下心があるからやりとりもマメ。困っている子を救うんだから何をしてもいい、自分は許されると思っているんですよ」

 橘さんによると、少女たちを食いものにする『ズルい大人』との出会いは「インターネット上や街中」が主という。

「誰でもいいわけじゃない。大人はターゲットを決めてから声をかけます。どこか弱っていたり、周囲から守られていないような雰囲気を出している子、関係や行為のことを言わないだろうと思われている子が狙われる傾向です」

 こうした大人と援助交際をしている少女もいるが、

「お金だけが目的じゃない。何らかの心のキズや問題を抱えた少女たちは満たされたい気持ちを持っています。そのときだけでも必要としてくれる人を求めて彼らについて行くんです」(前出・橘さん)

 少女たちの弱みにつけ込み、自分の欲望だけを満たしていく教師の果てに待っているのは退職金も出ない懲戒免職だ。キャリアも信用もなくし家族との関係もあやうくなったわいせつ教師。今後は刑事事件や慰謝料などの問題が出てくる可能性もある。

 モラルなき教育者は大きなツケを支払わされる。