11月3日から5日まで、インターネットテレビ『AbemaTV』で放送された『72時間ホンネテレビ』を完走した香取慎吾、稲垣吾郎、草なぎ剛ら3人。中でも11月4日は、見守ったファンにとって最高のサプライズ放送となった。このとき、ツイッターの「世界トレンド」ランキングで1位になっていたのが「森くん」だった。

 3人が訪れたのは、オートレース界の最高峰レース『SG第49回日本選手権』開催真っ只中の浜松オート。この日、出走を終えたばかりの「森くん」こと森且行選手と、21年ぶりの共演を果たしたのだった。久々の対面を喜び、懐かしむ3人は、オートレーサー森の環境を目の当たりに。

「すごいよ~。携帯も預けなくちゃいけないしさ。テレビくらいかな、見られるのって」

 本戦を合わせて6日間、世間から“隔離”されることを明かす。

「だから今僕ら……、そっか。あの~今、そうなんだよ。これも生放送だってわかってるよね?」

 と、森に対して何か言いかけるも、周囲をハッと見渡して話をやめた香取。そして3人もまた、このとき携帯を所持していないことを伝えたのだった。

 その後、森の案内のもと、バイク整備場やロッカーなど施設を見学した香取たち。SMAPファンにとってこれ以上ない生放送となっただろう。

オートレースに詳しい視聴者の「疑問」

 一方で、オートレースに詳しい視聴者らは、SNS上で“感動の再会”に疑問の声をあげていた。

《オートレースのSG開催中に出場選手が堂々と外部の人間と接触して、しかも走路とか練習場とか宿舎とか紹介して回ってんのな》

森且行との再会はいいけど本来開催中の選手は外部接触禁止なのにそれを特別に許可、ましてやSG開催中でそれをやるのはオートレースの信用問題に関わるぞ》

 そう、レース開催期間中に出場選手が、香取ら“外部”と接触したことを問題視しているのだ。

 公営競技のオートレースや競輪を統括する、公益財団法人JKAの「運用に関する説明資料」によると、

《公営競技が存続するためには、違法な賭博、呑みの行為の徹底した取締り、八百長の排除による公正な競争の確保が前提条件である》とし、《騎手や選手は、競走予定日前に外部との接触を遮断する措置が執られている》とある。

 つまり森は本来、最終日の5日を含めた6日間、3人と会うことはできないはずだったのだ。なぜ今回、それが実現したのか。生放送でレース情報が“漏洩”する危険はなかったのか。

 まず開催地である浜松オートに聞いてみると、

(選手の外部接触は)基本的に原則として禁止です。通信手段、携帯電話やインターネットに接続できるパソコンなどの持ち込みは禁止としていますので、そのセキュリティーは行っております。

 ですが、これまでも一般のお客様に対してバイクの整備状況や走路の中を見学させることは常にしておりましたし、今回もお客様へのサービスの一環として受けております。

 もちろん、(香取サイドには)あらかじめルールや禁止事項は説明したうえで撮影されていますし、また撮影の際にもJKAら関係団体による立会いのもとで、特に問題はなかったと思われます

 オートレースを統括するJKAの見解は、

原則禁止となっております。(森は)翌日も出走しますから、極秘に会う、隠れて会うだとかは当然できません。

 今回の場合は衆人環視の下での生中継、要するに変な動きをすればわかります。またJKAの職員も周りを囲んでおりますので、そういう意味では立会いの下で行われたという認識でございます」

 これまでも『ニコニコ動画』の生放送、CS番組の中継なども入れたことがあり、これが初めてのことではないと話す。とはいえ、

「かなり反響のほうは大きかったと認識しております。こちらのほうでも(森には)イベントなどにはよく出てもらっていますが、今回の出演は今までとは少し違った客層と言いますか、普段オートレースになじみのない方からの反響をいただいております」(JKA)

 やはり元SMAPの宣伝効果は抜群だったようだ。

 ではJKAを監督する、経済産業省製造産業局車両室に回答を求めると、

「実施規則のルール上からいうと、その区域には原則入ってはいけないということにはなっております。ですが例外としていくつか挙げられているのが選手はもちろん、われわれ政府職員、関係団体の職員、それから開催執務委員は例外となります。

 あともう1つの例外としまして、(レース)開催執務委員長が許可した場合が書かれております。今回の日本選手権は浜松市役所主催のレースでしたので、先ほど浜松市の執務委員長にも確認しましたところ、“事前の許可をしています”とのことでした」

 香取らが、特別に許可された理由はというと、

特例と言えば特例ですが、もともと一般のファンの方々のバックヤードツアーなど、そういったこともファンサービスの一環として行われております。一般の方を関係エリア、普段は制限されている区域に入れることは、それほど珍しいことではないんです。

 われわれとしましては、小型自動車競走の観点から見まして、元SMAPの方、芸能人の方だとしても一般の方と同じとみなしているのです」(車両室)

 つまり今回の感動の再会は、あくまで“一般人”による見学ツアーの延長で行われたということで、規則に違反することはなかったということ。香取が初対面時に周囲を見回したように、職員が全行程を同行してしっかりと目を光らせていた中での放送だったようだ。

 森がオートレーサーとしてではなく、元SMAPとして再会できるのは、まだ先のことなのだろうか。