羽生を指導した都築章一郎コーチ

新たな羽生結弦誕生の瞬間

 そのリンクで、小学校から羽生を指導し、金メダリストの土台を作り上げたのが都築章一郎コーチ(80)だ。

 震災時、横浜のスケートリンクにいた都築コーチは、仙台で練習できなくなった羽生を受け入れた。

「彼は本当に仙台を愛していた。被災で強いショックを受け練習にも集中できない様子でした。つらかったと思う」

 と回想。驚く光景も見た。

「余震が起こると、結弦が非常に素早い動きでリンクから飛び出して、外に避難したんです。精神も肉体も正常な状態ではなかった。でも強い子ですから弱音などは一切、吐かなかった」

 立ち直りのきっかけは、全国各地のアイスショーを転々としたことだという。

「そこで海外の選手と触れ合い技術を高めたこと、各地でファンの応援に力をもらえた。過酷な経験を、結弦はプラスへ変えました。震災を乗り越え、精神的にも肉体的にも成長し、新たな羽生結弦が誕生したように思います」

 と都築コーチは読み解く。

 ソチ五輪の直後、都築コーチは羽生に「金メダリストのコーチにしてくれてありがとう」と伝えたという。

 新井元支配人は平昌冬季五輪の滑りに目頭を熱くさせ、

「ソチ、そして今回の平昌の金メダルが被災者に勇気を与えてくれた。彼に関われたことを誇りに思います」

 政府は国民栄誉賞授与の方針を固めた。仙台市は凱旋パレードの準備に着手した。

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