元KAT-TUNの赤西仁もそれに近いと、前出の芸能ジャーナリストは言う。

「彼は当時、流行していたEDM系のダンスミュージックへの思い入れが強かった。デビューしてまだ日がたたないころにいきなり留学するなど、もともと独自の歩み方をする傾向がありました。

 脱退前の楽曲には、赤西のソロパートが異質な感じがあって、『やりたいこと』をグループ内で出していたものの、結局、渋谷すばると同じ脱退という道を選んだ。

 基本的には“好きなことをやったほうがいい”という、ジャニーさんの考えのもとでの行動だと思うのですが、アイドルグループのメンバーであることのギャップとジレンマを抱えながら活動するタレントは少なくないと思います」

 音楽的志向を追求するばかりではないが、ジャニーズのグループ内で自己表現が強そうなタイプとして、この芸能ジャーナリストは、こんな名前をあげる。

「Sexy Zoneの菊池風磨や、A.B.C-Zの戸塚祥太には、そんな雰囲気を感じます。バンドで言うならTOKIOで、最もアーティスト志向が高いのが、リードボーカルの長瀬智也。彼の場合は、TOKIOの楽曲を作詞作曲していますが、何より考えが内向的にならないところが、こじらせない大きな理由ではないかという気がします。

 リーダーの城島茂などは、気持ちよくギターがプレイできれば、環境にはこだわらないタイプ。グループ全体の雰囲気や、メンバーの位置関係などが絶妙だから、あまり浮いた存在となるメンバーが出にくいのではないでしょうか」

 もともとの性質と、グループ内の関係性。それが、グループアイドルの活動と並行しながら自身の個性をうまくアウトプットしていく秘訣なのかもしれない。

<取材・文/渋谷恭太郎>