ベテランジャーナリストとして見る目は正しいとばかりに、

「クスリを飲ませたりとかは犯罪だからとんでもない。ただ普通に、ちょっと触るくらいみたいの話が大犯罪のようになる社会が楽しいかい、というと私は違うと思う」

 時代にそぐわない、かび臭いご意見をマイクに乗せた。

 財務事務次官のセクハラ被害を告発したテレビ局の記者に対しても、セクハラについては基準が明確じゃないという立場で、

「取材の件でも1対1じゃないとネタは取れない、ということは危険を承知で会いに行くわけですよね。危険承知で行っているって考えないとまずい」

 と先輩ジャーナリストとしての心得を伝える。

 大宅氏は、違う意見を認めることとの重要性を訴える。それはまったく正しい見方だが、時代は変わり、新たなスタンダードや価値観は生まれる。古くてもいい価値観はいいが、酒席で女性の身体を軽く触ったり、わいせつな質問をするといった古くて悪い習慣が生き残ることはない。

 ちなみに山口達也さん以外に本稿に登場した人物の年齢は、オーバー70。これまでしみこんだ価値観を変えるには難しい年ごろということか。

<取材・文/薮入うらら>