学歴が通用しない時代が来る

 昔は大工の子は大工になった。農家の子は農業を継いだ。子供は親の背中を見て育ち、親の仕事に誇りをもっていた。

 しかし、それが、高度成長と共に「お父さんのようになってはだめよ」と、母親が息子に、有名企業で働くことを望むように変わっていった。その結果、学歴はあっても人格のない男性が多く輩出されるようになった。

 欧米人がいいとは言わないが、海外経験のある女性は、日本男性との違いを、肌で感じていることだろう。どんな職業の男性でもユーモアがあり、思いやりがある。組織の人も同じだ。まずは人としての魅力が一番大事なことだとわかっているからだ。

 30代のとき、尊敬する方に言われたことがある。「学歴なんか何の役にもたたない。学歴とは、他者を軽蔑するものでしかない」。そういう見方をしたことがなかったので、言われたときは理解できなかったが、今になるとよくわかる。

 会社の社長の中には立派な男性もいる。そういう方は押しなべて腰が低くえばらない。人を軽蔑し自分のほうが上だと思うその根性こそが、軽蔑に値することを日本男性のどれだけの人がわかっているのだろうか。

 来年から新しい元号になる。正社員になるのも難しい時代が来ている。これまで信じられてきた学歴も通用しなくなる時代がもうそこまで来ている。いいことかもしれない。東大出て財務省に入ってもあの程度だ。

 まともな心を持った人間には勤まらない世界だ。聞くところによると、優秀な人はすでに辞めているという。そうですよね。いられないですよね。嘘の答弁も限界ですよね。まともな人間だったら。

 これから結婚を考えている若い女性の皆さん!! 結婚するなら、男尊女卑でない、思いやりのある男性と結婚しましょう。

 例えば、テレビのサバイバル番組の『SASUKE』(TBS系)に出てくる消防士や漁師のような力持ちで温かい男性と。

 ちなみに、私にセクハラをしたあの社長は、後に社長の座を追われた。


<プロフィール>
松原惇子(まつばら・じゅんこ)
1947年、埼玉県生まれ。昭和女子大学卒業後、ニューヨーク市立クイーンズカレッジ大学院にてカウンセリングで修士課程修了。39歳のとき『女が家を買うとき』(文藝春秋)で作家デビュー。3作目の『クロワッサン症候群』はベストセラーとなり流行語に。一貫して「女性ひとりの生き方」をテーマに執筆、講演活動を行っている。NPO法人SSS(スリーエス)ネットワーク代表理事。著書に『「ひとりの老後」はこわくない』(PHP文庫)、『老後ひとりぼっち』(SB新書)など多数。