「電話が鳴るたびに“気をつけて”って言ってくれるのはありがたいです」と安間さん
すべての写真を見る

   電話の横にちょこんと座り、高齢者を守るキュートな存在。安間さん以外の利用者からも「孫から注意されているような気がする」「家族が1人増えた」などの反響があった。

 警察庁によると、今年1~3月末までで全国で約45億円のオレオレ詐欺の被害が出ている。昨年は174件、2億7000万円以上の特殊詐欺被害(架空請求なども含む)が出たという東京・杉並区。警視庁高井戸署管内での、みーちゃんの配布を決めた。

 同署の担当者は、

「高齢者の世帯が増え、高額所得者が住んでいる地域もある。しかし、ご近所付き合いがなくて、相談する相手がいない人も少なくありません」

 と、高齢化する地域の特殊性を、配布の理由にあげる。

 しかし、人形に詐欺を未然に防ぐ力など本当にあるのか。

精神安定剤としての役割も

 敦賀市立看護大学で人形療法を研究する畑野相子教授は、

「人形を抱きしめたり、撫でることで癒し効果のある脳内物質が分泌されると推測します。そして目が合うことで“この子は私を見てくれる”と思うようになります。名前をつけると愛着が生まれ、特別な存在に変わります」

 と、説明する。

 温かみのある人形と接することで精神的な安定が得られ、いたずらに動揺しにくくなる。自分を心配してくれる存在から声をかけられることは、身内から注意されるのと同じような心境になるという。

 オレオレ詐欺を未然に防ぐのは、みーちゃんだけではない。