親同士の関係構築が必須

 元夫への恐怖感、拒絶感が強く「離婚後も連絡をとる必要があるとは思いもしなかった」と話すのは一般社団法人『りむすび』の、しばはし聡子代表。別居・離婚後に子育てする親をサポートする共同養育コンサルタントを務めているが、ご自身も何の知識もなく離婚に踏み切り、憂うつな思いをしたことがあったという。

離婚はできましたが、調停で面会交流が月に1~4回という取り決めがなされた。息子に会いに来るたび、頭を抱えていました。元夫に息子を会わせるのが嫌でした」

 と振り返る。

 離婚したのに元夫と関わりたくない。だが、息子は父親と会うことを喜んでいる……。

 そこで、しばはしさんは夫婦問題カウンセラーの資格を取ることを決意。面会交流を見学するなどした結果、自分自身が変わって、子どもの父親である元夫に向き合わなければいけないと思ったという。

「子どもの情報を夫に伝えようと連絡をとることにしたのです。劇的に関係は改善しました。元夫も憤りが静まり、“ありがとう”と言ってくれる。“ありがとう”ともっと言わせたいと思ったら、苦しかった気持ちがスッと楽になったんです」

 現在は月に2回、子どもは元夫の家に泊まりに行く。しばはしさんが仕事で忙しいときは預かってもらい、学校の保護者会に行けないときは出席してほしいと伝え、学校から子どものことを注意されたら、それを父親から伝えてもらうなど、

「育児のいいところだけでなく、たいへんなところも分担してもらうようにしています」

 共同親権には賛成の立場だ。

「共同養育するために離婚後の親同士の関係構築は必須です。公的な支援も、ひとり親支援は充実していますが、共同親権になれば支援体制も変わってくると考えています。

 子どもは離婚後も共同で育てていくのが当たり前だと認知され、社会に浸透すれば、離婚すると親はひとりという固定概念が払拭されていく」