震災5日後、夫婦で熊本へ

 2016年4月14日、16日、熊本地震が発生した。警戒されていた南海トラフではなく、九州での震度7──。

 ニュースを見ていた裕介さんは声をあげた。

「熊本、行かなくていいのかよ。こんなところでビール飲んでる場合じゃないだろう」

 今まで仕事にあまりいい顔をしなかった夫の思いがけない後押しで、発災から5日後に福岡から物資支援の車で熊本に入り、初めて被災地の現状を自分の目で確かめることができた。

 震災後間もない被災地に向かうのは夫婦ともに初めてだった。現地では、フェイスブックでつながった熊本の料理研究家、相藤春陽さんと連絡をとり、支援を手伝った。

「私も被災して家が半壊し、車中泊が続く被災者でしたが、アレルギーの赤ちゃんのために離乳食を作って支援していました。今思えば、自分が被災した現実から目をそらしたかったのかもしれない。かもんさん夫婦とは初めて会うのに長年の友達のように仲よくなって、おふたりの夫婦(めおと)漫才のような楽しいやりとりにたくさんの元気をもらいました」(相藤さん)

 それ以来、夫婦一緒に熊本をよく訪れる。裕介さんはその後、防災士の資格を取得。本業の内装の知識を生かした防災教育に協力する企画を考えている。小5の末娘(11)は防災ママカフェを手伝う中で、しっかり防災の知識を身につけ、かもんさんと一緒にステージに立つこともある。今、夫婦としても、家族としても、同じ方向を見て一歩一歩進んでいる手応えを感じている。

今では、地方で行う防災ママカフェに夫の裕介さんも同行し、車で送迎をすることも 

 今年の7月末には、裕介さんが運転手となり、九州3か所での防災ママカフェツアーを行った。7月28日は相藤さんの主催するハルラボという食のスペースで、防災食の実食も含めて少人数でゆったりと防災について考えた。29日、島原青年会議所が主催する島原半島の3市合同の防災イベント「みんなで一緒に学BOSAI」では、防災ママカフェに100人近い人たちが参加した。

 最終日は冒頭に紹介した福岡だ。かもんさんはどんな場所でも同じ熱量でママたちに問いかける。