プロが再現した“本物の走り”!

 金栗を演じる勘九郎のマラソン指導を担当している、駅伝解説者の金哲彦さん。プロだからこそわかった、金栗の当時の走り方をこう分析する。

「金栗さんの現役時代の走る姿がわかる資料が、わずかな動画と写真しか残っていなくて。それらから分析してわかったことは、非常に体幹がしっかりしていること。そして肩より後ろで、下のほうで手を振るフォーム。さらに当時は足袋で走っていたので、上に跳ねるような走り方というよりは、すり足のように足を前に運ぶというのが、金栗さんの特徴だととらえています」

「あまり運動をやってこなかった」と話していた中村だが、

「トレーニングを始める前に、中村さんの身体を見させていただいたんですが、がっしりと鍛えられた体形で。さらに短距離も走ったらとても速いし、陸上だったらぜひ跳躍の選手になってもらいたいくらいの運動神経を持っています!」

 ただこんな問題も……?

「歌舞伎で重い衣装を着たり、足で床をバンって鳴らしたりするから、太ももがすごく太くて、歌舞伎俳優独特の体形だったんです。でも、それだとランナーには見えにくいので、一緒に走ったり、有酸素運動を筋トレで取り入れたり、食事療法などで身体を仕上げて、走りの基本から徐々に“金栗さんの走り”をマスターしてもらいました」