平成という時代が終わりを告げようとしている。

 天皇陛下は4月30日に退位されて上皇となり、5月1日に皇太子さまが新天皇として即位される。平成に代わる新元号は4月1日に発表され、5月1日午前0時に改元が行われる。

 これにより、天皇一代につき一元号とする「一世一元」制度が導入された明治以降では初めて、天皇の退位が実現することに。崩御によるものではない代替わりは、およそ200年ぶりだ。

宮内庁は大忙し

 今後、どのようなことが行われ、皇室はどうなっていくのか。宮内庁に長年勤務し、昭和天皇の崩御・大喪の礼、天皇陛下の即位の礼・大嘗祭などを経験した皇室ジャーナリストの山下晋司さんに聞いた。

「1989年(昭和64年)1月7日、昭和天皇が崩御された当時、私は宮内庁の報道担当でした。あのときと今回とではまったく事情が違います。当時、私だけに限らないと思いますが、新天皇の即位より昭和天皇の崩御のことで頭がいっぱいでした。

 新天皇の即位直後の儀式はありましたが、御大喪(昭和天皇の葬儀『大喪の礼』)が一段落して、初めて即位関係の儀式や行事を意識したと言ってもいいぐらいです

 まず、退位・即位に先立ち、2月24日に陛下の在位30年を祝う『天皇陛下御在位三十年記念式典』が行われる。4月30日に、陛下の退位を国民に明らかにし、国民に最後のお言葉を述べる『退位礼正殿の儀』が実施される。そして5月1日に、皇太子さまの天皇即位の儀式『剣璽等承継の儀』、『即位後朝見の儀』が執り行われるという流れ。

 その後もさまざまな儀式や行事が続く。10月22日には、新天皇の即位を内外に示す『即位礼正殿の儀』が行われ、オープンカーでのパレードや各国の賓客などを招いた祝宴が催される。さらに11月14日から15日にかけて、天皇が即位後に初めて行う、一世一度の新嘗祭(収穫祭)『大嘗祭』が行われる予定だ。

「退位の特例法が成立して以降、宮内庁は忙しくなっています。退位・即位関連の儀式や行事の準備、両陛下や東宮ご一家のお住まい、組織改編とそれにともなう人事、今後のご公務の整理や分担など、やるべきことがたくさんあります」