ところで、狂言の普及といえば、'20年に行われる東京オリンピックの総合演出に同じ狂言師の野村萬斎が就任。世界に日本の伝統文化が羽ばたく大きなチャンスのはずだが、そのことを彼女に聞くと、とたんに表情が険しくなり……。

「別に……。うまく演出できればいいなと思っているだけですよ。あの人が演出になっているのですから、上手になさればいいなと思うだけですね」

 と、(沢尻)エリカ様も顔負けなくらいの素っ気なさ。

「出来がいいときと悪いときの差が激しい」

 '05年の愛知万博で狂言を披露したのは和泉流宗家だった。それなのに、来年の世界的大舞台に野村家が指名されたことには、複雑な思いがあるのかもしれない。

「和泉流の中から出て行った野村萬斎さんが開会式などの演出をされるということですよね。ただ、家格で言ったら、あそこは弟子筋ですから。なので、オリンピックではずっこけない狂言演出にしてほしいわ。

 最近の萬斎さんはEテレの『にほんごであそぼ』に洋服を着て出てらっしゃるでしょ。あの番組では、出来がいいときと悪いときの差が激しいわよね。だから、オリンピック本番では、その差が激しくならないようにしないと……。見る方たちが、なるほどという線にまとまればいいんじゃないですか

 というセッチー。

銀座の歩行者天国を歩く和泉一家。羽野晶紀(左)の姿も('04年)
銀座の歩行者天国を歩く和泉一家。羽野晶紀(左)の姿も('04年)

 映画やCMに引っ張りだこの人気狂言師に、これだけ苦言を呈すことができるのは、和泉宗家を束ねるセッチーくらいだろう。

「うちはアメリカをはじめ、中近東やアジアと、海外40都市以上行ってます。海外の方は本当に狂言がお好きですからね。

 和泉流宗家は尾張徳川藩のお抱えだったわけで、今年で581年です。孫は4人いまして、元彌の子で二十一世を継ぐ元聖は10歳になりました。未来は明るいですよ」

 あの宗家継承騒動から17年──。相変わらずセッチー節は健在だった。