今は昔の「24時間働けますか?」

 例えば私の担当している『世界の果てまでイッテQ!』(日本テレビ系)だったら、私が『Qチューブ』で何やるか、企画を『イッテQ!』の定例会議に提出。ディレクター陣が「これ面白いねー!」って話になった瞬間、ロッチ中岡創一がロケで次に何をやらされるかの運命が決まってしまうのです。まさにすべての始まりは会議室!

 このバラエティの構成会議も私がこの業界に入った90年代からだいぶ様変わりしました。世の中の「働き方改革」の波がテレビ業界も直撃しているのです。

 昔は午前0時から会議スタートなんてこともありましたが、今は皆無。局のお偉いさんからきつく指導されているらしく、遅い時間の全体会議はご法度。となるとどうなるか? 遅くできないなら早くするしかない! とばかりに、ここ数年のテレビ業界はどんどん打ち合わせの早朝化が進んでいます。

 朝の8時、9時は当たり前になりました。時には7時スタートなんてことも! 私、車に乗らないので今は毎日のようにラッシュ時の満員電車に揺られて局通い。満員電車が嫌でこの仕事を始めたのになぁ。

「24時間働けますか?」のブラック企業の典型だったテレビ業界、局側から言われた労働時間をちゃんと守ろうとするとADが今の倍の人数が必要になるため、泣く泣く仕事を断った制作会社さえあると聞きます。

 今のテレビ業界を席巻する「働き方改革」の大波がこれからどうなっていくのか? 満員電車に揺られながらその推移を見守りたいと思います。


<プロフィール>
鮫肌文殊(さめはだ・もんぢゅ)
放送作家。’65年神戸生まれ。古舘プロジェクト所属。『世界の果てまでイッテQ!』など担当。渋谷オルガンバー「輝く!日本のレコード大将」(毎月第2金曜日)新宿ロックカフェロフト「トーキョー歌謡界アワー」(奇数月開催)などでの和モノDJ関西伝説のカルトパンクバンド・捕虜収容所のボーカリストなど音楽活動も数多い。