デビュー当時の5人の気持ち

 不思議といえば、二宮和也さんは雑誌の取材で「俺にとって、もっとも不思議なことは嵐がデビューしたってことかな。だって、もしデビューしてなかったら、今、何やってるかわかんないもんね」と語ったことがある。

 相葉雅紀さんも、「実はデビュー当時のことってあんまり覚えてないんだよ。デビューして、これから先どうなっていくのかってことも、よく理解してなかったし」と続けていた。

 よくわからないまま、デビューという“嵐”に巻き込まれたのは、ほかならぬ彼ら自身だったのかもしれない。

 さて、繊細さだけでは泳ぎきれない世が始まったせいか、当時は女性のファッションやメイクもか弱さより“媚びない強さ”を感じさせるものが支持された。美白一択の現代からは想像できないけれど、ガングロメイクやヤマンバメイクが登場し、高さ10センチはある厚底ブーツも大ヒット。上目遣いで男性を見つめるスタンスから、身長を底上げして肩を並べるスタイルが好まれた。

 さらに、1999年は“イケメン”という言葉が爆誕した年でもある。

 女性が意志的に素敵な男を選び、眺め始めた時代。

 この年生まれた嵐は、「オレがオレが」というオラつきとは無縁で、むしろ「えっ?  僕たちなんですか?」と不測の事態に揺れる脆(もろ)さをはらんでいた。ただし、強烈に魅力的な。

 大野智さんは、「(デビュー当初)寝る時間もないくらい忙しい生活が、1か月ちょっと続いたの。これが一生続くのか!? と思ったらゾッとして、逃げ出そうと思ったことはある(笑)」と回想し、松本潤さんは「俺は高1でデビューで……。(中略)“俺、高1で人生決まってたのかぁ”ってやっと気がついたよ」と思い返していた。

 これを受けて、櫻井翔さんは「大変ねぇ、このコも〜」と、“最年少”の松本さんに寄り添う。嵐は、「なんとしてもデビューを勝ち取る!」と志を同じくして集った仲間ではない。

 2000年代に突入した嵐は、さらなる飛躍を遂げることとなる。


<プロフィール>
みきーる/ジャニヲタ・エバンジェリスト。ライター・編集者。
グループを問わずジャニーズアイドルを応援する事務所担。応援歴は25年超、3日に1度は現場参戦。著書に、『ジャニヲタあるある』(青春出版社)、『ジャニ活を100倍楽しむ本!』(青春出版社)など。
◆Twitter @mikiru

◆オフィシャルブログ 『ジャニヲタ刑事!』