感情移入を必要としなくなった?

─ハチクロと同じく、二ノ宮知子『のだめカンタービレ』、荒川弘『鋼の錬金術師』もアニメ化、ドラマ化や映画化とメディアミックスを展開して成功した。

「荒川弘さん、男性と思いきや女性なんですよね」

『鋼の錬金術師』荒川弘(スクウェア・エニックス)錬金術が存在する架空の世界が舞台のブラックファンタジー。エドとアルの兄弟愛に注目
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「少年マンガではペンネームを男性っぽくしないと不利といわれるそう。逆に、男性が少女マンガを描くときは女性っぽい名前に」

「そういった性差を描いた、よしながふみ『大奥』は男女逆転の大奥が舞台。BL出身でたくさんの男性を描いてきたから、月代の男性をあんなにイケメンに描ける。画力の進化です!」

─平成後期にはドラマ化し社会現象にもなった海野つなみ『逃げるは恥だが役に立つ』をはじめとした、仕事と結婚に悩む大人の女性をターゲットにしたマンガが増加。

「平成後期のヒロインは“王子様ひと筋”タイプじゃない。ドラマでも大きな話題となった、いくえみ綾『あなたのことはそれほど』なんかは、どの登場人物にも感情移入できないのがスゴイ(笑)」

「感情移入を必要としなくなったのかもしれません」

─フェミニズムの視点が盛り込まれた作品も話題に。鳥飼茜『先生の白い嘘』は、レイプ被害と男女の不平等を真正面から描き、大きな反響を呼んだ。

'18年には牧野あおい『さよならミニスカート』が連載スタート。元アイドルの主人公を通して、セクハラや痴漢、周囲が求める女らしさへの違和感といった問題をリアルに描写。少女誌『りぼん』に掲載とあって、注目を集めている。

「牧野先生はフェミニズムを描こうと思ったのではなく、日ごろの疑問を描いたらこうなったそう」

「少女誌の現場に女性編集者が増えたという影響もありますね。平成の後期はカンブリア紀みたいなもの」

「種の多様化ですね」