大変そうと思いきや稽古は楽しさばかり

 主に映像の世界で活躍してきた三浦さんにとって、舞台は日本もののアクション『SAMURAI7』、劇団☆新感線『髑髏城の七人』に次ぐ3作目となる。

三浦翔平 撮影/佐藤靖彦
三浦翔平 撮影/佐藤靖彦
【写真】顔が綺麗な三浦翔平

「会話劇のストレート・プレーは初めて。翻訳劇もコメディーも海外の演出家もWキャストも役変わりも、初めてづくしですべてが新鮮です。劇団☆新感線では体力的なしんどさがありましたが、今回は別の大変さですね。動きはそれほどないんですが、脳の運動量がすごいというか(笑)。

 ただ“翻訳劇って大変そうだな”という予想とは違って、いまは楽しいほうが勝っています。『髑髏城の七人』のときは稽古場が大変すぎて、本番が始まったらもっと大変で。“もう2度とやりたくない”と思ったんですが、終わったら“またやりたい”と思ったんですよ。だから今回、逆のパターンだったら、本番が進んで“もうやりたくない”ってなったらどうしよう、なんて考えています(笑)

 三浦さんが思う、舞台の魅力は?

「ランディさんも言っていたんですけど、やっぱり生モノなんです。“この90分が終わったら、同じ90分は2度とない。終わったら1度真っ白になって、次の1日にまた新しい『ピカソとアインシュタイン』をやる、その繰り返しなんだ。2度とこないその一瞬を楽しもう”って。それに尽きますね。やり直しがきかないのは怖いですよ。

 でも人間だし、間違えてしまうこともある。そこも含めてライブの面白さだと思っています。だってその間違えたところは、そのときに来ていたお客さんしか見られないものですよね? 俳優はなんとかフォローして巻き返そう、終わらせようと必死で努力をするから“それも含めてひとつの芝居だ”といえるんじゃないかな」

 実はいままでも「舞台をやりたい」と思い続けていたという三浦さん。今後も舞台姿を見せてくれそう。

「僕はこれまでほとんど映像でやってきたからこそ思うんですが、舞台は年に1本くらいはやりたいです。力がつきますから。舞台はごまかしがきかない。だから演劇人の人たちは土台が違うし“すごいな”といつも思わされます。

 蜷川幸雄さんの演出を受けられなかったのは悔やまれますね。やっと念願が叶ってストレートプレーもやれることになったので、これからもっとやらせていただきたいと思っているんです。今回はとにかくたくさんの初挑戦をしているので、本番ではまた新たな感覚を味わえるんじゃないかな。僕自身も楽しみにしています」

<作品情報>
『ピカソとアインシュタイン~星降る夜の奇跡~』
スティーヴ・マーティン作で’93年に初演されたファンタジック・コメディー。20世紀初頭のパリで、もしも若き日のピカソとアインシュタインが出会っていたら? という発想をハチャメチャな展開で描く。日本では’97年と’00年に上演されており、今回はそのときの岡本健一&川平慈英がピカソ役&アインシュタイン役に再挑戦するのに加え、三浦翔平&村井良大がWキャストで初参戦。それぞれ相手チームがピカソ&アインシュタインを演じる公演では、未来からの訪問者&発明家シュメンディマン役を演じる。
◆4月25日~5月9日 よみうり大手町ホール
◆5月12日 大阪・森ノ宮ピロティホール
公式サイト(http://hpot.jp/stage/picassoeinstein2019

<プロフィール>
みうら・しょうへい◎1988年6月3日、東京都生まれ。2007年、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストでフォトジェニック賞・理想の恋人賞を受賞。2008年に『ごくせん 第3シリーズ』で俳優デビューし、一躍人気者に。主な出演作にドラマ『ダメな私に恋してください』『好きな人がいること』『奪い愛、冬』『会社は学校じゃねぇんだよ』、映画『THE LAST MESSAGE 海猿』『カノジョは嘘を愛しすぎてる』『ひるなかの流星』などがある。

<取材・文/若林ゆり>