近年はSNSの充実で、地方からも全国的な人気を獲得するコンテンツが誕生している。これからも確実に地方からスターは生まれ、それらの命は、東京のエンタメ観では見つけられない場所で産声をあげています。そんな輝きや面白さを、いち早く北海道からお届けします。(北海道在住フリーライター/乗田綾子)

 少し前の話になりますが、北海道から飛行機に乗り、東京・豊洲にて開催中のアート作品展『サントリー オールフリー presents BOUM ! BOUM ! BOUM ! 香取慎吾NIPPON初個展』を見にいってきました。

 この行動をアイドルファン的な言葉で表現すれば「ヲタ活」。でも当日の私がそう思い過ごせないほど緊張していたのは、きっと好きなアイドルに“いまだ会えていない”地方民だからでしょう。

 香取さんを含む元SMAPの3人が『新しい地図』を立ち上げて約1年半。ここまでの活動の中で3人は公式SNSの開設、AbemaTVでのレギュラー番組など、着実に新しい活躍の場を広げてきました。しかし、地上波テレビ各局への番組出演は、減少したままになっています。

 テレビ露出が生命線だった地方ファンにとって、首都圏・関西方面に集中する出演舞台や、同じく縁の遠い番組観覧でその喪失を埋め合わせることは、やはり困難なのが実情。

 だからこそ、子どものころからずっとテレビでSMAPを見ていたファンの私は、初めて触れるSMAP以降の香取慎吾を前にして、さまざまな感情がひときわ去来していたのだと思います。

ファンをアイドルの“聖域”に踏み込ませる

 今回、香取さんの個展会場となったIHIステージアラウンド東京は、国内はおろか世界でもかなり珍しい円形劇場。客席が360度回転可能という特徴があり、これまでは劇団☆新感線による『髑髏城の七人』など、主に演劇の舞台として使用されてきました。

 そして香取さんの個展自体も、最初はまるで何かのライブかのように、客席でのオープニング映像鑑賞からスタートしていきます。