学校行事の主役はあくまでも子どもたち。まずは、子どもたちが楽しんでいるか、その行事で何を得るのか。それを抜きで決めたらあかん! 正直、お弁当も場所取りもめんどくさいけど、彼、彼女らが一生懸命、練習したことを頑張って披露する、年に1度の運動会の日くらい、親も頑張ろう! 仕事も大変だけど、お弁当や場所取りに頑張っている親のことも、子どもたちはちゃんと見てる。

 最近、テレビ業界でも教育現場でも、ごく少数のクレームが大きく取り扱われすぎるのも気になるところ。一部の文句をおさめるために、言われた部分を切り落としてばかりでは、やがて大事なものまでなくなってしまうぞ!

「なくす派」の人は「そもそも運動会やる意味がわからない」らしい。そんな人は運動会の結果発表での子どもたちの一喜一憂、見たことあるのかな? 自分の組が優位に立てば飛び跳ねて手を叩いて喜び、負ければ本気で悔しがる。それだけ本気で練習を重ね、本気で挑んでいるということ。

 勝っても負けても、そこに大きな経験がある。それは意味のない経験か? ほとんどの子どもは、運動会に向けて「早く走れるように」自分で何かしら努力して工夫するもの。そして、その結果がどうであれ、受け止めて乗り越える、それが大事なんじゃないのかな。

「運動会の練習で授業がつぶれるから無駄」「暑い中、練習したらかわいそう。もうやめてもいいのでは」という親もいる。そりゃ、暑さやケガから守ることも大事だけど、これからそんな時代を生き抜かなければいけないのは、あなたの子どもたちだから。それを知って乗り越えることも大事な授業。「どうやったらこの暑さから身を守れるのか」「どうやったらケガせずにできるのか」自分で考え、工夫しながら経験して学ぶ。それだけでも意味はある!

 運動会とその練習の過程で、子どもたちは何を感じ、何を味わい、何を学ぶのか。もしも、何もなければ、やめればいい。だけど、運動会でしか味わえない喜びや悔しさは必ずある。他人や自分の「苦手」を知り、「得意」でカバーしたり、団結して支え合う体験、そこでしか芽生えない対抗心や向上心、終わって得る大きな達成感。 

 大事なのは、なんでも「経験する」こと。人として成長するためには、よいことも悪いことも、ひとつでも多くのことを経験して乗り越えること。この時期に集団の中でしか体験できないこともある。その大事なチャンスを、一部の大人の都合で奪うな!

 親も先生も忙しく大変なうえ、昔より面倒なことも危険なことも増えた今、なくさなくてはいけないものはまだまだ増えていくでしょう。言うまでもなく、何より大事なのは、子どもたちの命。運動会は、命の危険を冒してまでやるものではない。無駄の多い内容を見直し、練習も最低限に抑えて、先生方の負担も減らしたらいい。みんなの健康を守るために時短にするのはいいけど、どうか親も子どもも全力で挑み一生、思い出に残る運動会にしてほしい。


プロフィール

野々村友紀子(ののむら・ゆきこ)                      1974年8月5日生まれ。大阪府出身。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属の芸人、2丁拳銃・修士の嫁。 芸人として活動後、放送作家へ転身。現在はバラエティ番組の企画構成に加え、 吉本総合芸能学院(NSC)の講師、アニメやゲームのシナリオ制作など多方面で活躍中。著書に『あの頃の自分にガツンと言いたい』『強く生きていくために あなたに伝えたいこと』(ともに産業編集センター)『パパになった旦那よ、ママの本音を聞け!』(赤ちゃんとママ社)がある。