2回目は、今年4月5日だった。その1〜2か月ほど前、莉菜容疑者は、

「もうすぐ結婚するので、生活保護はなくしてください」

 と同市東区役所に連絡して、同市中央区の2LDKの新しいマンションに引っ越している。新婚生活を送るはずの新居で、事件現場にもなったマンションである。

道警と児相の言い分

 同マンションの住人が、

「上の階から、昼夜を問わず子どもが泣き叫ぶ声がする」

 と児相に通告。児相は対応したものの、なかなか部屋が特定できず、莉菜容疑者とも連絡がつかなかった。泣き声の主が詩梨ちゃんだと特定できたのは4日後だった。以降も容疑者との連絡はとれず、面会はできなかった。

 5月12日、北海道警察(以下、道警)に、

「子どもの泣き声が聞こえる」

 と110番通報があった。道警はすぐに駆けつけたが、泣き声は確認できなかった。

 翌13日、道警は莉菜容疑者と連絡をとったものの、面会は拒否された。夜10時ごろ、道警は児相に「虐待の疑いあり」と知らせ、自宅訪問に同行を要請した。これが3回目の通告である。ところが、児相は、

「夜間なので態勢が整わず、厳しい」

 と要請を拒否。これについて児相の東美伸相談判定一課長は、

「私は自宅で知らせを受けたので、一時保護所にいる職員に、“容疑者に電話をしてほしい。ただし、10回鳴らして出なかったら、切ってくれ”と指示を出した。やはり出なかったので、同行要請を断ったのです」

 と記者会見で説明した。しかし、児相は夜間や休日は札幌南家庭支援センターに業務委託している。にもかかわらず遠方で1時間ほどかかるので、あえてお願いしなかったという。児相の高橋誠所長も、

「過去に依頼して行ってもらったところ、結局、留守で、会えなかった、連絡がとれなかったということも何度もありましたから……」

 と釈明した。

札幌児相の高橋誠所長(左)東美伸相談判定一課長(右)
札幌児相の高橋誠所長(左)東美伸相談判定一課長(右)

 翌14日、道警は児相に、

「“明日、面会の約束がとれたので、同行してほしい”と言ったが、断られた」

 一方の児相の言い分は、

「私たちの受け取ったニュアンス、認識ですが、道警は鍵を壊してでも入るといったような厳しい態度だったので、私たちは翌日、訪問調査という形をとろうと考えていた……このへんは道警との確認がまだとれていないので、なんとも言えませんが。今後、札幌市の検証委員会が立ち上がって、詳細が明らかになると思います」(高橋所長)

 と当初は説明したものの、

「道警から“相手が嫌がっているので児相は同行を遠慮してくれ”と言われたので、行かなかったのです」(同)

 と二転三転。